豊島逸夫の手帖

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日本の買いで欧米も急反騰

2006年2月10日

この48時間で20ドル下げた後に14ドル回復した。本稿執筆時点(2月10日朝8時)でスポット565ドル。昨日の上げの主役はTOCOM(東京工業品取引所=先物市場)であった。一昨日ストップ安になったので、海外筋の見方はおおかた昨日には売りそびれた顧客が殺到して売りが加速するであろうというものだった。筆者もそう思っていた。ところが、いざ蓋を開けてみると、TOCOMは買い。欧米のディーラーは意表をつかれた。昨晩NY市場の友人達と話していたときに感じたことは、どうも欧米の仕手筋は、TOCOMのストップ安を誘引して、その後の東京でのパニック売りを見込んで戦略をたてていたフシがあるね。そのアテが外れたという感じ。東京サイドにしてみれば、そうはいかんよ、ということか。12月の苦い経験からの学習効果が生きているということか。

海外コメントでは、やれ、米上院の警報が誤作動して神経ガス騒ぎがあったとか、やれ、東証が反騰したからとか、色々書かれているが、どれも後講釈だね。実態はプロの間の仕手戦である。特別なマクロ要因が誘発した動きではない。こう書いてしまうと実も蓋もないけどね。

注目のアジア中東の実需の回復だが、どうもいまひとつ足りない。昨日もWGCの各事務所に聞いてみたが、未だもう一段の下値を期待しているようだ。それゆえ、TOCOM主導の買いに計算が狂ったという感じで、逆に、どうして?と聞かれた。来月、北京での中国民間銀行金関連マネージャーたちの勉強会に招かれ講演するのだが、是非、TOCOMのハナシも入れてくれと要請してきたほど。

昨年12月からTOCOMの存在が急速に海外の金市場でも意識されるようになったが、彼らにとっては未知の不気味な存在に映るようだ。

2006年