豊島逸夫の手帖

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株安の影響は?

2006年5月31日

3連休明けNY市場では金反発。660ドル近くまで戻した。

株が安い。そこで今日は 株安の影響を吟味してみよう。

一般的には以下の4つが挙げられる。
1. 歴史的に金価格と株価には若干の負の相関関係が見られ、値動きが互いに独立していることから、株安に対するヘッジとして金が買われる傾向がある。代替投資=オルタナティブと呼ばれる資産クラスの一選択肢として特に近年、年金基金が購入しているパターンだ。
2. 同じ機関投資家部門でも、ファンドなど短期的売買益を追求するマネーは、株安になると、同時に保有する金を売却して益出しを行い、株式損失を補完する動きに出る。場合によっては、損失を最小限に抑えるために見切り売りするというケースもある。
3. 個人部門では、株安に起因する負の資産効果が見られる。つまり、株高でリッチになった気分になり財布の紐の緩んでいたのが、一転して締め始めるわけだ。消費が減退し、金の主たる需要分野である宝飾部門にマイナスの影響が出る。
4. 最後に、機関投資家も個人投資家も共通の現象としては、投資リスクに対して敏感、神経質になる。要は心理的に萎縮して、リスクを取るだけの心の余裕がなくなるのだ。"株安のときこそ代替投資を考えねばという理屈は分かるのだが、まずは株のほうが心配で新たな投資媒体を考える余裕がない。"ある機関投資家氏の本音である。

以上の4つの項目のなかで、まず短期的に目立つのは2.であろう。
1.に関しては、既に450ドルくらいから継続的に年金基金が買い始めている。
4.の影響としては、当面、新規買いが模様眺めモードで出にくくなる。3.は株安が長期に及ぶ場合にじわじわ進行する。

というわけで、総じて、株が安くなると、目先は金市場もなんとなく湿りがちという塩梅であろう。

しかしながら、中長期的には株安に対する備えとして金へ分散投資する流れは続く。株と金、どちらかの二者択一ではなく、両方をどのようなバランスでポートフォリオを組むかという問題であろう。あくまで主役は株、金は脇役である。金を組み入れ、その(株安ヘッジとしての)出番が無いのが一番よろしい。ただ、出番が無いとは言い難いのも事実である。だから、筆者はアドバイスとして、株を買うごとに 予算の一割相当を純金積立に廻しておくことを奨めている。(或いは、株を売却したら、その一割を金で積み立てるという方法でもよい。)株が順調に廻れば、積み立てた金(ゴールド)は最愛の妻へジュエリーを等価交換でプレゼントするもよし、可愛い子や孫へ金貨にして残すのもよし。金の残高は、あまりギスギスせずに、肩の力を抜いて見守ることがコツだ。

2006年