2006年3月28日
FOMC(米連邦公開市場委員会)に於ける討議が始まるなか、金は大幅続伸。本稿執筆時点(3月28日朝7時)でスポット567ドル。先週末から20ドル近い急反騰である。いっぽう、銅、銀は新高値を示現中だ。
思わぬ高値に逆を突かれた鉱山会社が、期末の"お化粧直し"のために慌てて金売りヘッジを買い戻すという現象もあるようだ。
ウオール街では、金利敏感株が売られるなかで、金属株は堅調。シティーグループが各種メタルについて価格予測を上方修正との報道をテコに買いが入っている。
およそ、利上げという逆風をあざ笑うかのような資源の高騰現象だ。
"鳥の目"で大局を眺めれば、21世紀の新たな価値の変動といえようか。天然資源とかハイテク技術には高い値がつくのに対し、ヒトとおカネには大した値がつかない。つまり、株主本位の経営論理が勝るなかでは景気回復しても賃金はさほど上がらず、世界的カネ余り現象(=過剰流動性)のなかでは金利は依然低水準である。
いっぽう、中国とかインドとかとんでもない潜在需要を持つ国々は資源を買い漁り、勝ち組の技術を誇る企業の株は驚くほどに買い上げられる。"安い"おカネを武器にヘッジファンドも希少資源を新たな代替投資の標的とする。従来の"価値観"が大きく転換しつつあるようだ。
金に関して言えば、"マネー"としての金は利上げで売られるが、"コモディティー(商品)"としての金は利上げをものともせず買われるということか。
話は変わるが、昨日の英国ザ タイムズ紙が面白い記事を載せている。曰く、英国の納税者は近年の政府の愚かな保有金売却により36億ドル相当の損失を蒙ったが、中国は同時期に公的金保有を600トンに増やし42億ドル相当儲けた。まことにshame(恥ずべき事態)である。もはや英国政府の金庫には310トンの金しか残っていない。これは中国の半分、欧米諸国に比べると更に極端に低い金保有量となってしまった。という嘆きと皮肉の記事である。
GoodBye Gold, Hello US$(金よ さようなら、ドルよ こんにちは)という風潮が支配した90年代を思えば、これも大きな価値観の変動であろう。