豊島逸夫の手帖

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金のトリビア

2006年3月16日

一昨日の本欄で世界の金生産国トップ5の最新統計を出したが、そういう数字に興味を示す読者もおられるので、今日は、サプライサイドの統計関連のトリビアをまとめてみた。興味ない方は、流してください。

●世界の年間金生産量は?
2005年2,494トンこれは2004年2,463トンに比し1%上昇。価格急騰にも関わらずほぼフラット状態。

●世界一の金鉱山会社は?
2005年では米国のニューモント社で205トン。第二位は南アのアングロゴールド社で192トン。第三位はカナダのバリック社で169トン。但し、大手同士のM&Aが頻発するなか、毎年のように世界一の座に立つ会社は変わる。アングロ社が合併でトップに立った時期もあるし、ニューモントも合併でトップの座をアングロから奪った。2006年には、バリック社と 第五位のこれもカナダのプラサドーム社が合併し一躍トップの座へ。2005年の生産量ベースでは二社で268トンになるが、効率化のための不採算鉱切捨てにより、合併後は247トンになる見込み。M&Aにより生産量が減るという教科書的例だ。

●金生産コストは?
2005年9月末で世界平均268ドル(開発コストの原価償却含まない操業コスト)。前年同期251ドルに比し7%アップ。これは各国為替要因が強く振れが大きい。南アは、不採算鉱(155トン相当にのぼる)をリストラの過程で容赦なく閉山しつつあるのでコストは減少。

●金鉱石1トンから採れる純金量は?
南アでは、4.72グラム(2004年)。2001年には4.13グラムだったので、増加基調なのだ。これは、高品位の鉱脈を優先的に採掘して生産コストを下げているため。

●ヘッジ売りの残高は?
2005年末時点で1609トン。前年同期1804トンに比11%減少。ピークには3000トン以上あった鉱山会社のヘッジ売り契約残高も随分と減ったが、それでも、まだこんなに残っているのかという感じ。さすがにスポットが550ドルにもなると数年先の先物でき上がりで600ドル以上は取れるから、新規ヘッジもぼちぼち散見されるようにはなったが。引き続き、トレンドはヘッジの少ない鉱山会社の株が買われる傾向。ヘッジはずしの量を会社別に見ると、トップは米ニューモント社の33トン(2005年。)

2006年