2006年5月9日
今日は話題豊富。
まず、週末の欧米メディアはネブラスカ州で開催されたカリスマ投資家ウオレン バフェット氏率いるバークシャ ハサウエイ社の年次株主総会の話題でもちきり。24,000人も集合し、シュワルツネッガーとかラップ歌手まで参加して正にお祭りムード。とはいえ、同氏も75歳となり、後継を息子に譲ると語り、一転しらけた雰囲気になったようだ。
近年の同氏のbatting average(打率)も、マーケット平均並みで、もはやスーパースターとは言えないという見方も。それでも、午後いっぱい株主たちとのホットな質疑応答が続いたという。(Woodstock for capitalists 資本主義者たちのウッドストックの様相だったと言っても世代的に分かってもらえないかな...)。彼の片言隻句にメディアの関心は集まり、今後日本企業の買収を増やすとの発言も飛び出した。
商品関係のコメントでは例の大量シルバー保有につき"I bought very early and sold it very early and I made no money.(私は早くに買って、早くに売りすぎて、儲からなかったよ)"と、あっさり売却を認めたことが注目されている。更に、彼の保有銀量とされた1億2900万オンス(=約3900トン)は、バークレーズ社が今回のシルバーETF組成に当ってかき集めた量と同じなので偶然にしてはできすぎかと市場の憶測を呼んでいる。タイミング的に場外取引があったとは思えないが...。なお、同氏の保有銀はその規模の大きさから銀市場にとって気になる(もし売られれば相場のアタマを打つという意味で)目の上のたんこぶみたいな存在だったから、これでひとつ心配の種は減ったことになる。けれども、銀市場はここ数日、金に比しおとなしい。シルバーETFは、先週末現在で4400万オンス(=約1300トン)も売れ、近々6000万から1億オンスに膨れ上がるだろうと見られているのだが。まぁ、ディーラーとしては、ETF上場という材料を目いっぱい囃してここまで買い上げてきたわけで、またもや噂で買ってニュースで売れのパターンのようだ。
さて、金市場のほうは、昨日"調整局面必至とはいえ、調整が入っても24時間も持たず、東京時間には元の水準に戻ることが多い"と書いた後、NY時間前に670ドル近辺まで急落。ところがその後じりじりと値を戻し本稿執筆時点(5月9日朝8時)では680ドルの大台を回復している。イランがブッシュに書簡を送り歩み寄りとの憶測で売られ、でもやっぱりドル安だと買われ、行って来いの24時間であった。
相変わらず下がらない相場だが、下がらないわけだと思わせる材料がもう一つあった。先週木曜日に(プラサを買収して)いまや世界一の金鉱山になったカナダのバリック社の株主総会がトロントであったのだが、その場で、同社が今年に入ってから前日までになんと177トンのヘッジ売りを買い戻していたことを公表したのだ。本欄でも2月にまとまったヘッジはずしあった模様と3回ほど書いたのが、これだったわけ。ちょっと価格が下がれば、待ってましたと、この種の買いが出るのだから下がらないわけだ。なお、同社は今年年末までに更に60トン、その後も更に84トンのヘッジはずしを続行すると明言している。すべて"株主の皆様に金価格上昇のメリットをフルに享受していただくため"だそうだ。