2006年6月26日
ヘッジファンドの決算期直前駆け込みの売りの嵐も一巡し、鎮静化。市場は落ち着きを取り戻しつつある。短期売買差益狙いのヘッジファンドが売り手仕舞うなかで、長期保有の年金買いが粛々と買い増している構図が続いている。年金買いのバロメーターである金ETF残高ベースも463トンと過去最高水準まで膨らんできた。
NYの株式関係者が、顧客に売りを勧めるときに、Sell in May and go away という韻を踏んだ言い回しを使う。気候の良いシーズンは株など売り払って相場のことなど忘れて街を離れなさいよ、というほどの意味である。振り返れば、今年は正にそれを地で行った感じの展開であった。
じっくり相場を遠くから見つめ直したところで、いつマーケットに戻ろうか。第一弾ロケットを切り離したところで、第二弾ロケット点火のタイミングを模索中の市場である。
改めて5月のフィナンシャルタイムズなど引っ張り出して読み直してみると、マクロ経済のファンダメンタルズは何一つ変わっていないことに気付く。悪乗りしたリスクマネーの一団が一斉に引き揚げただけのことである。マーケットの流動性急減とも言われるが、コアの部分の投資マネーのカネ余り現象が急変したという実感は全く無い。(低金利で)ひとのカネを借りて相場張っていた連中が逃げ出しただけである。
冷静に金を買い進めている欧米年金は、その実態を見抜いている。彼らに言わせれば、金は投機的でリスキーと言われるが、金を入れないポートフォリオのほうがインフレに対して裸で全く無防備と言う意味でよほどリスキーであるということになる。
ここのところ、しきりに投資家のリスク回避現象顕著とか言われるけど、欧米年金は金でヘッジしてリスク回避しているのだよ。