2006年3月29日
グリーンスパンより明瞭な物言いが好評のバーナンキFOMC声明であったが、しかし相変わらずマーケットは(利上げはmay be neededだのmight be neededだの)、その英文解釈で一喜一憂している。でも、今回は、はっきり利上げ継続路線が打ち出されたと解釈できる内容。俄かに、あと3回追加利上げで5.5%説も勢いを得てきた。仮にそうなれば、(原油高が物価上昇に波及しないという前提だが)実質金利も上がる局面が予想され、金にはきつい状況になろう。
しかし、足元では、金の下げも小幅にとどまっている。本稿執筆時点(3月29日朝6時)でスポット564ドル。NY取引所終了後に声明文が出たので、その後に下がったのだが、2日間で20ドル近く急騰したあとの反落としては小幅の感が強い。売られても未だ高水準である。
まぁ、金には金利以外に幾らでも買う理由があるよというわけか。
利上げということは、よく考えれば背景にインフレ懸念があればこその予防措置なわけだし。原油も再上昇中。あちらはナイジェリアが一段落と思えば、今度はノルウエイだと騒いでいる。
NY金市場ではETFの伸びが一段落と思えば、先物の買い残がピーク時の4割減になる300トンを割り込んだところですかさず新規買いが入るという展開。入れ替わりというカタチで市場の流動性の裾野が広がったことを実感する。
なお、金利に戻るが、今後、注意する必要があるポイントは金利差である。ドル金利は、いずれにせよ利上げサイクルも最終段階で、先読みするマーケットは早くも利下げ転換時期を探っている。対して、円の利上げはこれから何時始まるかという時期を探る段階。つまり、いつまでも金利差でドルが買われる状況は続かないということ。
金市場に関しては、最も嫌うシナリオが、世界的な三極同時高金利なのだが、その可能性は非常に低い。ユーロも利上げサイクルに入っているが、フランスのストライキを見るに構造改革は未だ未だ。とても利上げばかり追求できる状況ではない。
この2週間ほど、本欄の話題も金利に終始してきたが、バーナンキ初登場のFOMCも終わり一段落したところで、"鳥の目"で大局を見れば、利上げが金価格の長期上昇トレンドを覆すことはないだろう。上昇スピードにブレーキをかけて減速させる程度の効果と見るべきである。