豊島逸夫の手帖

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NY先物ベースで600ドル突破

2006年4月7日

NY金先物市場の取引の中心となっている6月物が、一足早く600ドル到達。但し、現物スポットベースでは595ドル(本稿執筆時点4月7日朝7時)。この価格差を、初心者のために説明しておくと、6月受渡し、支払い決済ということで金を買うときは、即現金支払いより金利分は高くなる仕組みだ。

金価格は、いよいよ一人歩きを始めた感が強い。他の金融市場全般は今夜発表の米雇用統計待ちで動きがとりにくいなかで、わが道を歩んでいる。雇用統計がどちらに転んでも金買いの材料にしてしまうのだろう。数字が良ければ、いよいよ人件費も上昇傾向となりインフレ懸念が強まるとの解釈。数字が悪ければ、経済減速回避のため利上げは打ち止め。金利を生まない金にはプラス。まさに、いいとこどり。市場内のほぼ全員の視線が上しかみていないときの特徴だ。数々の修羅場を経験してきた筆者には、これが気に入らない。

さて、金は25年ぶりの高値。TOPIXは14年ぶりの高値。ユーロは対円で最高値。

ここでクイズ。この3つの現象の共通項は何でしょうか?

答えは、ドル離れしたマネーの分散先。典型的な例がオイルマネーだ。ドルを売って、金、日本株、ユーロに分散運用中である(注:ドル円だけ見ていると円安ドル高にも見えるが、欧米のベンチマーク=ドルユーロで見れば、ユーロ高ドル安である)。

なお、ドル長期金利が4.9%にまで上昇。あと一歩で5%の大台乗せだ。ここでは、金価格高騰=インフレ懸念=債券安の連想が働いている。10年物の国債を持っている人にとっては、金が上がるということは気味が悪いものだ。

そういえば、株式市場でも、金が上がると、"株高で折角盛り上がっているのに、いやーな感じ"という反応が見られる。株安に対するヘッジ資産としての宿命か。

今日はテレビでマスターズを見ながら書いているので(筆者のアタマの中はGOLDよりGOLFモード)、なんとなく軽いタッチになった。最後も軽く締めよう。

今の金市場をたとえれば、5人のお客さんを夕食に招いたのだが、奥さんの料理が評判で、中国人だのインド人だのどこかの年金理事さんだのが参加してきて10人に増えちゃった、家庭のドタバタといえようか。さぁ、大変。希少価値の高いマツタケだの、××年ものワインだのは、そう簡単に追加調達はできない。更に、評判は評判を呼び、15人に増えそうな気配。

600ドルは通過点だね。

2006年