2006年8月22日
今日は早朝からブルームバーグという経済専門チャンネルに生出演して金需給について語ったのだが、そこで話しているうちに、ふと頭に浮かんだキーワードが"縮小均衡"という言葉だった。
本年4-6月期はロンドン平均金価格が627.71ドルとなり、2005年の年平均444.45ドルを大きく上回った。そこで、実需は当然減少したわけだが、供給も同時に減少することで、需給バランスが成立した。これ即ち縮小均衡ということになる。
数字で検証してみよう。
2005年の四半期平均の総需要(=総供給)は988トン。2006年1-6月の四半期平均総需要(総供給)は821トン。即ち、17%減少したところで需給が均衡したわけだ。
供給サイドの減少要因は二つ。公的売却の激減。そして、鉱山ヘッジの売りより買い戻しのほうが上回り、供給項目から需要項目に転じたこと。それも3ヶ月で157トンという規模の買いが出現したわけで、その影響は大きい。供給量を減少させ、実需の落ち込みをカバーするという役割を果たしたのだ。
4-6月期の需給データを見るかぎりでは、金価格上昇の本当の理由はサプライ(供給)サイドにあるといえよう。
マクロ経済の金利という指標が、金にとって上げ材料(利上げ打ち止め、そしてドル安)とも、下げ材料(インフレ懸念後退)とも解釈できるので、決定打になりにくい状況では、サプライサイドのサプライズ要因が決め手になる可能性に注目している。
足元は、イランが強硬姿勢を崩さず、原油価格が反騰したことで金も上昇。600-610ドルの水準は徐々に固まってきた感がある。
なお、明日(23日)の夕方5時からは、今度は日経CNBCに生出演して金需給データについて更に解説する。
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