2006年9月19日
昨晩(9月18日)の欧米市場のもっぱらの話題は、大手ヘッジファンドが天然ガス取引で6000億円相当の損失を出したという報道。"やっぱり"という反応が多いのは、ここのところマーケットでしきりにヘッジファンド受難の時代とか言われ、巨額損失の噂が流れていた矢先だったから。
一番の問題は、多くのヘッジファンドがほぼ時を同じくして同方向にbetする(賭ける)傾向が強いこと。攻めるも引くも、あたかも一蓮托生みたいな集団なのだ。
コンピューターによるプログラム売買導入の結果なのかもしれない。
現在は一斉に引いて、逃げ遅れた一団が、相場が戻すたびに、やれやれと売り手仕舞っている段階だ。昨晩も金価格は10ドルほど反騰して590ドル前後まで戻したが、マーケット内では"戻り売り"ムード強く、慎重論が目立つ。
NY先物市場買い残も、先週43トンと急減し262トンの水準まで落ち込んだ。
このような傾向が支配するマーケットでは、ヘッジファンドの動向が相場の上下を著しく増幅する。ゆえに、彼らの売買は、オーバーシュート(上がり過ぎ)とかアンダーシュート(下がり過ぎ)の現象を惹き起こす。特に決算期が近づくと普段にもまして神経質になる。今は後者=アンダーシュートの状況だろう。
ヘッジファンドは現在進行中のトレンドに乗って(あえて言えば悪乗りして)、短期的売買益を稼ぎ出資者に還元することを生業とする。中長期のファンダメンタルズなどは後講釈に利用する程度である。彼らがマーケットの長期トレンドを作り出すことはできない。このことだけは肝に銘じておこう。