豊島逸夫の手帖

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ニューヨーク ニューヨーク♪

2006年2月7日

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この写真は、NYの金ETFの胴元が運営しているサイトに出ている。現在の金ETFは、これだけの金地金が裏づけになっているのだ。特別保管という、万一破綻しても顧客の地金は保護されるシステムだ。この金地金の塊に対して、投資信託が設定され上場されて株同様に値がつく。

売買単位は1/10オンス。株価ボードにはGLDという略称で刻々売買値が表示される。顧客は証券会社の店頭でボード見ながら注文を出せる。NYではステート ストリートという特に年金関係に強いという定評を持つ金融機関が胴元。このETF経由で買われた地金の総量が、全世界で429トンに達した。NY先物市場の大口投機家買い残高が直近で433トンだから、ほぼ同量になってしまったわけだ。かたやずっしり重い現物の長期保有。かたや先物で売買が繰り返されるペーパー。現物需要量としては、中国の2年分に近いし、中央銀行の年間金売却量にも近い規模だ。そう考えると、需給構造の歴史的転換という表現も大袈裟ではなくなる。

金の教科書では、現物はロンドン、NYは先物という住み分けがこれまでの業界の常識だった。需給は中国、インドを見ていればよかった。アメリカ人は金現物をbuy and hold、じっくり持つなどということには興味がない。直ぐに結果の出る先物を選好する、と言われた。それが、いまやNYを見ないと現物のトレンドも読めない。それも、従来のNY金市場ルートでは全く情報は入らない。筆者の個人的NY情報ソースが、COMEXにトレーニーで派遣されフロアを走り廻っていたときに思い切り突き飛ばされたことが縁で知り合ったローカル(といってもハーバード卒のインテリやくざ)なのだが、彼に誰が買っているのかと聞いても首をかしげるばかり。ETFとか年金ということになると世界が違うのだ。

代替投資といわれる分野で、日本で言えば、いかにも人事部あがりといった風采の年金理事さんたちと、きゃぴきゃぴのワーキングウーマンを切り込み隊長とする外資系年金運用機関のミスマッチがユニークな世界である。その分野の人達に聞いても金ETFのことなど殆ど知らない。逆にそれって何と聞かれるのが落ちだ。それほど未だマイナーな商品なのだが、その程度の規模でも金価格25年ぶり高値を演出するだけの影響力を持つに至った。これが更に浸透拡大したら、いったいどういうことになるのか。1月5日付け"WEIGHT OF MONEY (おカネの重み)"をもう一度読み返していただきたい。

先物も現物もニューヨーク、ニューヨーク。昨日 市場を駆け巡ったニュースも、バーナンキ就任、ブッシュ予算教書、GM配当カット、米国内テロ警戒警報等々、ニューヨーク、ニューヨーク。日本人としてはちょっと悔しいね。

2006年