2006年10月17日
市場参加者の多くが弱気に傾いたところでマーケットは反発。相変わらず、相場は生き物であるよ。
まずは、540とか550ドルというような水準の可能性は遠のいた。
マーケットの潮流に変化の兆しも見える。これまで金売りを誘因してきた米景気減速懸念の後退である。米経済指標が思いのほか良好で、利下げ観測が遠のき、インフレ抑止=利上げ再開の可能性も視野に入ってきた。
更に、ひとつの疑問が市場内に生じている。9月末、第二次ワシントン協定第二年度末に、やはり駆け込み大量売却があったとの指摘である。それが、これまで顕在化しなかったのは、先物による売却であったから。ただし、現物受渡しは第三年度にずれ込むカタチだ。なにやら、江川の巨人入団時のような制度の盲点を突いた感も否めない。
疑問というのは、これまでECBは、現物引渡し時点で売却とカウントしていたから。しかし、その解釈は特別、明文化されていたわけでもないので、改めて、ECBに明瞭な基準を公開するように求める動きもアナリスト間では出始めている。
いずれにせよ、筆者の複数の"信頼できる筋"の情報では、500トンの年間売却はこのような異例のカタチで使い切られたと思われる。
問題は、これが、今回の相場反発の一つの要因になっていることだ。
今回の600ドル割れが、この100トンを越える想定外の売却によるものと仮定すれば、金独自の一過性要因による下落と解釈できるからだ。そういわれてみれば、貴金属市場のなかで金の独歩安の局面が見られたことを思い出す。
まぁ、いずれにせよ、ヘッジファンドの大量手仕舞いに端を発したselling climaxは案の定一段落したようだ。