2006年5月1日
4月28日の欧米市場で実に20ドル以上の急騰を演じ、本稿執筆時点(5月1日朝8時)654ドル。単にメイデイ連休前のショートカバーとかポジション調整では済まされない値上がり幅である。
600ドル乗せのとき同様、結局決め手はイラン情勢であった。イランの挑戦的姿勢に危機感を感じたマーケットが反応した。イラン問題の注目度は、米国民の間で、もはやイラクを凌ぐ。米NBC調査によると、米国民の目下の心配事ランキングでイラン33%、イラク22%という結果が出ている。(ちなみにトップは原油高騰で45%。)
もう一つの決め手は、バーナンキ議会証言で利上げ打ち止めが強く示唆され、FOMC議事録の内容を追認したカタチになったことだろう。4月に4.75%の利上げ後、5月5.0%の追加利上げは予定通りのようで織り込み済み、しかし6月の5.25%となると、今回の議会証言後、確率が64%から34%に下がったとの数字も出ている。結果、外為市場ではドル安が顕著である。
まとめていえば、イラン、金利、原油高そして銀ETF上場の4点セットが650ドル台をもたらした。
原油高に関しては、スローモーション オイル ショックという言葉が言い得て妙である。70年代は供給の予期せぬ中断というサプライサイド要因により急激なオイルショックが起こったが、今回は世界的景気回復、中国インドの台頭という需要サイドの要因がじわじわ効いているのでスローモーションというわけだ。そのぶん、一過性とはいえない原油高と言えよう。
最後に銀ETFが上場初日200万株(622トン相当)の大商い。下馬評どおりの派手なデビューである。金、銀のダブルエンジンで推進力も倍増の上げ相場となっている。