豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. ジャパン輸出ダウン49%の衝撃
Page666

ジャパン輸出ダウン49%の衝撃

2009年3月26日

NY時間になって、そろそろ寝ようかと思ったら、枕もとのパソコン受信がピコピコ鳴り始めた。常に鳴っている感じなので耳が慣れてしまって、聴覚もほとんど麻痺しているのだが、それにしてもピコピコの頻度が高い。何かあったのかと見れば、シカゴやNYの仲間たちが"ジャパン輸出ダウン49%"の外電みてチャットしてきたのだ。Is it that bad?=マジ、ホントにそんなにヒドイの? I am shocked.=ショックだぜ。等々。原油市場も、この日本発の統計データで下がっているとのこと。このチャットやっているうちに、すっかり寝そびれ、今朝の原稿は朝3時に書いている。

まだ、NYは引けていないが、NYダウはアップ200で景気良く始まったのに、米国債入札不調のニュースで一転下げ。今のところダウン80というジェットコースター相場だ。VIXも40-44と日中の振れが大きい。いかに米国債バブルに株式市場も神経質になっているかを象徴するような地合いである。今年は債券市場から目が離せない。シカゴの債券先物ディーラーの友人がFRBのmoney creation=通貨創造は、out of thin air=マジシャンがしなやかな手の動きでトランプカードを瞬時に空を切って出して見せる如く、と表現していたのが印象的。

日本の輸出49%ダウンについての報道を米国経済チャンネルでも見てみたが、ロスアンジェルス港からの中継でレポーターが、2月のcargo traffic=貨物32%ダウンで、これは1981年以来と語っている。世界の物流の80%は海運。その中でDry goodsと言われる石炭とか穀物の海運の物流を示す指標として今やすっかり有名になったバルチック海運指数は、2008年の12000近いピークから一時は600近くまで95%も暴落したが、ここにきて1800程度まで戻してはいる。

ロスアンジェルスの海運業者がコメントしていたが、このDry goodsの部分に関しては2009年末までには回復が見込める(と言ってもI hope=私はそうなることを望む、という言い回しであったが...)。しかし、コンテナのほうは車、衣服、電化製品、チョコレートなどで、これはno hopeの一言。2010年のどこかで反転をI hopeだと。足元では大型財政出動によるリフレ効果頼み。

ところで、昨日書いた中国人民銀行総裁のSDR発言にガイトナーが早くも反応。(未だ 原文は読んでいないがと断ったうえで)I am quite open to the idea.=SDRの拡大をベースにした案は考慮の対象になりうる、という意味の発言。
それから話は飛ぶが昨日の日経夕刊3面に"ヘッジファンド清算急増"と"米国商品先物 原油、金に投機規制導入"の記事あり。これについても書こうと思ったところで、どうにも眠くなったから、おやすみなさい。

2009年