豊島逸夫の手帖

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AIG株 急騰劇

2009年8月28日

AIG株が昨晩のNYで27%も急騰した。本稿執筆時点でまだNY市場は引けていないが、10ドル高の48ドルをつけている。絵に描いたようなショートカバー劇である。

AIG株をショート(カラ売り)したヘッジファンドやデイトレーダーたちが締めあげられている(ショートスクイーズ)。借り株が出来ず、足元を見られて、高値で買い戻しを強いられているわけだ。

キッカケはグリーンバーグ氏(創業者を継いだ二代目でAIG事業拡大の最大の貢献者)がAIG買収のためのファンド設立とかの噂がマーケットに流れたことである。

ちなみに一時は1ドルまで下がったシティー株も、昨晩は5ドルまで戻している。どうも、株もドルも原油も金も、目先上がるときはショートカバー合戦の様相である。

原油も金もプロは割高感を感じて(筆者もその類であるが)、空売りに走りがち。しかし、サブプライム後はリスク管理が厳しくなったので、価格が思惑どおりに下がらないと、すぐに買い手仕舞う。ドルも反騰局面の多くはドル売りのショートカバーである。

金融危機で凍りついた市場の流動性が、たしかに融けつつある。リスク意欲が戻りつつあることは事実なのだが、堪え性がない。あるいは(プロの場合は)堪えることが許されない。

でも、米国の夏の最後の三連休(レーバーデイウイークエンド)が終われば、いよいよ秋相場に突入。そろそろレンジから離れる時期である。

2009年