2009年5月26日
欧米はメモリアルデイで休場。束の間のマーケットの"平和な"ひとときを敢えて狙ったかのようなタイミングである。核実験となると、そのインパクトはミサイル発射とは全く異なる強さがある。これは中露とて無視できない。大きな政治問題であることは間違いないが、マーケットの材料としては、さほどのかく乱要因にはならないだろう。金市場で言えば、地政学的要因が相場を動かす時代は過ぎた。よしんばNY先物市場価格が、この材料で上がったとしても それはロング(買い持ち)投機筋の囃したてであり、それにうっかり乗ってはいけない。マーケットの地合いとしては、960ドルに迫り、1000ドルも視野に入ってきた丁度その時なので、囃しが効きやすい局面ではある。でも、欧米市場関係者と話していて、つくづく感じるのは、北朝鮮問題って所詮"対岸の火事"なのだよね。丁度、日本人が中東情勢にさほど切迫感を感じないことと同じだ。
話はガラッと変わって、筆者が興味深いと思った調査統計をひとつ。各国経営者が感じる今後6ヶ月間の景況感を地域別にまとめた数字だ。
良くなる 変わらず 悪くなる
米国経済 33.8% 50.0% 16.2%
中国経済 38.3% 48.3% 13.3%
アジア経済 27.1% 55.9% 16.9%
欧州経済 12.9% 46.8% 40.3%
世界経済 25.0% 53.1% 21.9%
(ソース:ビジネス・カウンシル)
なんといっても欧州経済への悲観的見方(ユーロ・ペシミズム)が目立つ。金融危機への対応の遅れ、資産査定もまだ、失業率も米国より高い、などの点が懸念されている。住宅バブルが、英国、アイルランド、スペイン以外では重篤な症状ではない、という良い点もあるのだが。しかし、外為市場では、目下、ユーロ高、ドル安。逃避通貨ドルからのマネー流出という説明であるが、この統計から見るかぎり、またユーロ安、ドル高に戻っても不思議はない。皆がドルに"不安"を感じているが、それが外為市場で"ドル安"となるか否かは別問題。今年の外為市場はドル安、ドル高が交互に出ているが、まだこの状況は続きそうだ。
なお、目下の金市場を見るツボは、米国債券市場(米国債発行消化状況)である。