豊島逸夫の手帖

Page795 世界地図から消えゆく日本

2009年12月22日

今日は、思いっきりチャッチーな見出しをつけてしまったけど、これ今、筆者が感じているママ。

今週は欧米クリスマス休暇で、海外からのメールもクリスマスカードばかりモニター画面に並ぶ。メディアのトピックも2009年回顧ものばかり。そこで日本人として気になるのが、世界の潮流回顧に日本の存在が見えないこと。

フィナンシャルタイムズ紙の時事戯画には、激流と戦うオバマやコキントウやアラブ人の姿とか、波間を漂うEU旗が見えるが、日本を表す描写は一切無し。英エコノミスト紙の表紙には「ウオール街 vs ロンドン vs 上海」の見出し。今後の金融市場間競争の予想記事である。

米国の厳しい金融規制を嫌って一時はロンドンに流れた国際金融市場の流れが、英国の銀行幹部ボーナス導入をキッカケにロンドン離れの様相。そこで、どの市場がロンドンを食うかといえば、まず、シンガポールが最有力。(2009年10月26日付け本欄「シンガポールに集結するロシアマネー」参照)。次いで、上海。そして、ジュネーブやチューリッヒも相対的に浮上している。でも、東京市場は、その次の次くらいに、やっとソウルと一緒に名前が挙がり、それもグローバル・センターではなく、リージョナル(アジア地域)ハブを争うというレベルだ。

金の世界にいても、アジア時間の国際金価格はGlovexというNY電子取引プラットフォームで決まり、大手投資銀行のトレーディング・チームはシンガポールに集結中だ。日本でゴールド関連のトレーディング・デスクを持っていたところでも、それを廃止してシンガポールや香港に集約させている。東工取の地盤沈下も、pathetic(憐れみを催すほど)と筆者の友人には表現されてしまった。

これほどまでに日本の存在が薄れてしまった原因は、やはり日本人の「島国根性」なのだろうか。筆者がアジア出張の度に痛感することは、現地の情報に接しつつ、なぜ東京にいると、このようなナマの情報が入ってこないのか、という疑問だ。国内情報ばかりで、明らかにアジア内でも隔離=insulateというか、孤立=isolateしている。やっぱり大陸と国境線を持たないという事実、そして英語が大の苦手という事実は重い。一般メディアでも、政治部が幅を効かせ、国際部は傍流である。国際経済よりも国内政局ネタが受ける。

金価格報道にしても、国際経済状況の中でなぜ金が上がっているのかという視点より、金価格が上がって日本人の国民生活にどのような影響があるのかという視点の取材が圧倒的に多い。円高で海外金高が相殺されれば、その瞬間に、日本人には関係なーい話とされる。

海外テロ報道でも、日本人死者が一人でもいるか否かで、一面に載るか国際面のベタ記事で終わるかの差がある。一人でも日本人死傷者が出たときの反応が、またとくにヒステリックにもなる。日本の政局や国内経済を冷静に見て報道するのが、欧米メディアだったりもする。記者クラブのシガラミとか国民感情を煽ってはならぬという類の「政治的配慮」などとは無縁でいられるからであろう。政権交代で、省単位の記者クラブへのブリーフィングが無くなり、閣僚とのパイプを模索してオタオタしている担当記者もいると聞く。

政権交代しても、やっぱりこの国はおかしいと思うよ。太平洋の片隅に漂っている感じだ。若い世代にしても、内に籠り過ぎだよね。仲間内で群れ合って一人になればコク―ン状態(繭玉の中でテレビゲームに興じる)。ファッションとか音楽などの感性は国際化されているのだけれど、人間関係とか知識となるとマルドメ(まるでドメスティック=国内的)。これだけ社会のインターネット化が進めば、自ら英語勉強してインターネットサーフィンすれば、いくらでも国際情報は取れるのに。先日、70代の男性が「わしは、毎日4時間はネットに向かい、分からんことはググルのだよ」と語るのを聞き、年齢は関係ないなと思った。

なんか、今朝は筆が勝手に動いて止まらなくなってしまったね。でも、少なくとも、本欄の読者は 世界情勢が気になるという人達なのだと思う。金価格にはさほど興味ないけど、世界で何が起こっているかには大いに興味あり、という読者コメントも最近はとくに多くなったと感じている。「金を通して世界を読む」という発想で来年も書き続けたいと思います。なんか、大みそかの締めみたいになっちゃったね。まだ、今週は書くけどさ。

筆者の正月は、例年どおり中国。今年は昨年行って感動した広州で中華三昧。広州って産業都市なのだが、食は広州にありの言葉は本当であった。良い素材を、中華にしては薄味で調理するので日本人向け、とは筆者のグルメ中国人友人の言葉。たしかに昨年も広州から香港に移ったら、香港の味がひどく濃く感じた。これ同伴旅行仲間たち全員共通の感想であったよ。シンプルなチャーハンの概念が覆るような発見。もはや東京のチャーハンは似て非なるものなり。世界で一番高価なコメはコシヒカリにあらず。ラオス米なり。高熱で一気に炒めると表面はしっかり。でも噛むとジューシーなのだ。そして、なんといっても、大ぶりのヒラメ丸ごととか珍味の貝類とか海鮮三昧で、一人1300円という価格が魅力だね。今年はさらなる円高で人民元も実質ドルペッグだから、もっと安くなるのかな...。

なお、筆者のクリスマスはホワイトのスキー場。すでに先週末、初滑り済ませ、スキー用具一式をガーラ湯沢にシーズン中預けてある。帰りに寄る越後湯沢温泉の源泉「山の湯」の回数券も購入。「温泉評論家」も自認する筆者の一押しがココ。源泉温度が45度程度で、加水せずに丁度良い加減。濃いけれどやさしい湯触りだ。越後湯沢に共同浴場は5つほどあるが、地元の人は皆、ここに通う。一回300円。回数券で240円。東京の銭湯より遥かに安いね。ガーラ湯沢往復新幹線とリフト券セットの日帰りパックがいまだと7900円だし。それでもスキー場はガラガラでデフレを感じる。

おっと、クリスマスも仕事は休んではいませんよ。イブの24日にはテレビ東京朝9時からのEモーニングに生出演。25日の夜9時からは日経CNBCで30分のナマ金特番。その間はスキー場。亀井幸一郎さん、池水(ブルース)雄一さん、日経金担当記者の村上史佳さんと激論。といっても今回、筆者はもっぱら進行役に徹し、良き後輩たちに思う存分語ってもらいます。そんなこと言って、ジェフが黙って見てられるかね、というブルースの呟きが聞こえてきそうだが...。笑。まぁね、今年も渋澤健さんとか深野康彦さんとかパネルの檀上でマイクの奪い合いやってきたからね...。

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