豊島逸夫の手帖

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ドル、ユーロ、円の循環物色

2009年5月11日

ユーロが高い。でもマーケットにはユーロペシミズム(ユーロ先行き悲観論)が満ち満ちている。

市場ではストレステスト結果の安心感からNY株(特に金融株)が買われ、これまで避難通貨とされたドル、円が売られるという解説が流れているが、だからといってユーロが積極的に評価されて買われている感じではない。結局、相変わらずのドル、ユーロ、円の三つ巴の弱さ比べ。とはいえ、ユーロが対ドルで1.36まで上昇すると、足元ではドル安要因が金には買い材料となる。

金融危機後退(というより一服感)、そしてNY株高で金は下がるかと思えば、その一服感がドル安経由で金に上げ要因として働いている図式だ。しかし、この解説は、どうも、いまいち説得力がないね。

920-930ドルあたりの水準が上値抵抗線となっている。ただ、金市場のテーマが、金融危機から財政赤字、通貨増発などのインフレ懸念に早くもシフトしている兆しが見える。(米国債券市場で米国債が売られ、ドル長期金利がじり高になっていることが、投資家のインフレ警戒感を示している。)

金融危機=信用リスクヘッジのための金買いから、その金融危機対策としての超大型財政出動、量的金融緩和の後遺症を先取りしてヘッジする金買いに移行している様相である。

これからいよいよ5月マーケットも本格化するなかで、まだまだ金価格の下値波乱もあると思う。ここまで上値をトライして結局抜けないと、下への反動が起きるものだ。しかし、中長期的には、なにか新たな買いの材料を見つけて上げたがっている市場心理が働いていることもたしか。

今日は、新装なったCNBCスタジオに生出演で"中国の公的金購入急増"について語ります。午後5時、再放送は午後8時過ぎ。

2009年