2009年10月13日
新著「小学館30分で分かるシリーズ 3000円から始める金投資」42ページ以降で、金価格上昇7つの理由、下落5つの理由について詳説した。
上昇の理由
1.通貨への不信 (ドル、ユーロ、円、どの通貨も売りたい気持ち)
2.実物資産への回帰
3.インフレへの懸念(物価鎮静なれど、通貨増発による悪性インフレの可能性)
4.世界的な超低金利
5.中国の経済成長
6.年金、オイルマネーの流入
7.金生産量の減少
下落の理由
1.米国経済の復権
2.金利の上昇
3.IMFやヘッジファンドの大量売却
4.インドの金需要急減
5.リサイクルの急増
上記の要因の中で、先週はバーナンキが出口戦略発動の用意とも取れる発言をして利上げ観測を生み、一時ドルが買われ金が売られた。でも、どうみても、おいそれと利上げなど出来るような経済環境ではない。まぁ、ゴールドマーケットが高値圏で買い続けつつも、いつ下がるか不安なので、このようなコメントにも神経質に反応するのだろう。買っているほうも気味が悪いのだよ。外為市場では、この発言が、投機筋により、絶好の目先利益確定売りの機会に利用された。
なお、この新著には書かなかったが、原油先物取引規制で原油から金にマネーが流れていることや、NY先物買い残高が空前の史上最高水準を毎週更新していることも、それぞれ強弱の要因となっている。
さて、先週は金価格が3日連続史上最高値更新ということでメディアでも頻繁に取り上げられている。しかし、実にいい加減な情報とか、一夜漬けで聞きかじったようなコメントが氾濫しているね。困ったことだと思っている。筆者が日ごろ好感を持っていたエコノミスト氏でさえ、「最近は中央銀行の金売却が急増している」とか「インドの金需要は好調を維持」などと発言するのを聞いて、がっかりしてしまった。取材される筆者も、もどかしく感じることがある。短期的に警戒警報の発言をしたビデオ収録が、本番では「長期強気」の部分30秒ほどだけ放映。あとでスタジオの証券系アナリスト氏が「そうはいっても短期的には過熱してますからねぇぇ...」。
まぁ、毎度のことだけれど。本などを通じて根気よく正しい情報を伝えねばと、改めて思う次第。