2009年7月23日
中国経済成長率は、ゴールドマンサックスによれば2009年1-3月期に比し同4-6月期は年率16.5%に達するとしている。そこで早くもバブルの懸念が囁かれる。
その主因は、商業銀行が1-6月期に100兆円相当も貸出を急増させたことだ。これは2008年通年の倍にあたる量である。通貨供給量(M2)も1-6月期で29%急増。商業銀行と言っても、ほとんどが実質国営銀行であるから、中央の共産党の指示ひとつでトップダウンに動く。2007年に過熱化を懸念してトップダウンで建設、住宅関連融資を締め過ぎた反動で、今回は流動性のバルブを一挙に緩めたのだ。
その新規貸出の20%は株式投資に向かっているという。その結果、中国株は昨年11月の底から80%の急騰。住宅価格上昇による正の資産効果が個人消費を刺激するので、昨年10月から中国政府は住宅ローン(一軒目の住宅所有)に関して、頭金の最低額を30%から20%にまで引き下げた。不動産取引に関する印紙税も減額した。その結果、1―6月期の新規住宅建設は12%増加した。
そこで、地域によっては(上海、シンセンなど)、いち早くバブルの兆候が見られるというので、二軒目の住宅購入にあたっては頭金40%が必要という規則の遵守を徹底するとのこと。(つーことは、フツーは守られていないわけね...。)
それでも米国住宅バブルのときは、頭金ゼロがフツーだったわけで、まだまだ中国など可愛いもの。中国株だって、2007年のピークから見れば、まだ半分程度であり、住宅価格にしても全土で見れば昨対でほとんど上がっていない。故に、政府は金融緩和姿勢を崩してはいない。10月の中国共産党60周年という一大イベントを控え、地方暴動騒動でも見られるように、民心の安定にはことのほか気を使っているからだ。
しかし、中国人民銀行は、「ひっそり、こっそり」という感じで銀行間金利を段階的に引き上げたり、新規貸出申請の精査徹底を指導するなどの動きを見せている。財政出動の姿勢も、「実行のスピード最優先」から「質を優先」に変遷しているようだ。
マクロ経済を俯瞰すれば、肝心の輸出は毎月減少が続き、消費者物価上昇率も1―6月期にはマイナス1.7%。まだまだ油断ならぬ状態と言えよう。中国バブルの話は、時期尚早と見る。
さて、日経マネー編集部主催で、変わったセミナーやることになりました。コモンズ投信渋澤会長とセゾン投信中野社長という、新たな投信の動きを作ろうとしているお二人と掛け合いセミナーです。なんでこういう組み合わせになったかというと、以前も本欄で書いた記憶があるのだけど、今年前半に大阪にて、縁あってこの3名で本音トークみたいなセッションをやったのですが、これが大盛り上がりになり、噂を聞きつけた日経マネー編集部が東京でも再現を、ということになった次第。
筆者が乗り気になったのは、お二人とも「長期投資」のスタンスで、じっくり、ゆっくり、こつこつ投信を買ってゆきましょう、というスタンスだから。既存の業界に対する挑戦でもあるのですが、手数料を削るために直販方式を採っている。当然、販売力には限界があるから、全国各地をセミナー行脚して直接個人投資家と対話している。自分のための投信というより、愛する人のために投信を毎月数千円から積み立てようとも提案する。
ここまで書けば、なぜ私が個人的に入れ込んだかお分かりになるでしょう。澤上さんの薫陶も受けているけれど、加えて若さがあるのがいいね。今回の講演タイトル見ても、渋澤健さんは「30年後」とか、中野晴啓さんは「ゆったりのんびり」とかいうキーワードが入っています。大阪会場では、彼らの応援団と筆者の応援団が、投信と貴金属という境を越えて、みな納得しているのが強く感じられました。
所詮、投信だろうが貴金属だろうが、投資の原則は同じということも改めて確認できました。セッション後半の本音トークはオフレコバージョンで、これは会場限定で三人が普段感じているところを率直に語るという趣向。「業界に旨みのある投資商品は、投資家には旨みがない」とは大阪での筆者の発言でしたが、ここでは貴金属という枠に拘らず、投資全体について筆者の相場体験も交え マクロの話をします。
8月22日(土曜日)14:00から、日経マネー主催で田町駅近くの会場で。三人は手弁当参加ですが、企業スポンサーがつかないので(色がついていない)、 参加費2000円だそうです。