2009年4月13日
イースター・ウイークエンドは、パソコンも携帯も家に置いてスキー場でリフレッシュ。標高1000メートルには、まだ150センチの豊富な積雪が残る。一切の情報から隔絶する状態に身を置くと、グローバルな流れが見えてくるもの。燦々と春の日光が満ち溢れるスキー場のテラスで好物のモンブランを食しながら考えた。
そこで浮かんだキーワードが格差。米国には富裕層と中産階級の格差が拡大するばかり。1979年には人口比0.1%に過ぎないトップクラスの富裕層が90%の低中産階級の所得の20倍を稼ぎだしていたが、その倍数が2006年には、なんと77倍に拡大した。ここまでくると米国経済の持続的回復のためには富裕層に気張ってもらわないと困る。あまり金持ち優遇はんたーいばかり唱えていると、結局、中産階級は自らの再生の機会を潰すことになりかねない。
EU圏の格差は、ドイツと他の欧州諸国との国力の格差。極端に言えば、ドイツにぶらさがっている格好だ。そのドイツも、世界一の規模の輸出依存型経済で締まり屋さんのドイツ人に内需拡大は期待できないことが最大の問題。中国の格差は知れたこと。都市部と農村部。しかし、鳥の目で見れば、2030年までには全人口の7割に当たる10億人が都市部で生活することになるという。硬直的な欧州の格差に比し、中国の格差是正には着々と進行する力強さを感じる。カースト制度が残るインドは、格差が制度化されてしまった国だが、現在の経済の最大の格差はインフラや製造業などの実業の極端な遅れと、インターネットなどの虚業の発展であろう。ロシアの格差は、民間貯蓄が少なく、外資の存在感が大きいということ。ゆえにルーブルの変動に殊の外影響されやすい構造になっている。こうして見ると、どこの国にも様々な格差問題があるものだ。
サブプライムの問題は、これら格差を悪化させた。米国のマイホームを取得できない低所得者を優遇して格差を是正するはずの金融技術は、廻り廻って世界の格差を拡大するという皮肉な結果をもたらした。今後の格差是正策は、下の者が上の者の足を引っ張るのではなく、上の者に気張ってもらって、全体の水準を引き上げるという発想が重要になろう。ただやみくもに銀行の金儲けとか金持ちの超高給に非難の矛先を向けるだけでは、結局、沈みゆくタイタニック号の船中で船長の責任を問う糾弾集会のようなものになってしまう。"カネは天下の回りもの"という発想が必要ではないかな。そしてカネが天下を回れるように機能するのが銀行なのだ。
さて、筆者の今週はセミナーが多い週だ。今日は東証アローズで東証共催ETFフォーラム、明日は経団連会館で機関投資家向け、水曜日には年金関連勉強会、そして週末には縁あって広島県福山市で個人投資家向け。それでも週末のセミナーを今年は劇的に減らしているので、昨年一回もできなかったスキーを存分に楽しめて体調完璧です。