豊島逸夫の手帖

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子供手当は出世払い

2009年10月16日

9月29日付け本欄にこう書いた。「庶民目線の政治という言葉の響きは心地良いが、政治が目先の庶民受けにばかり走ると、後でその政策の戦略の欠如から発する痛みを庶民全体が味わわされることになる。There is no free lunch=タダ飯などあり得ない。」

そこで蓋を開けてみれば、予算概算要求90兆円超に膨張。税収は40兆円以下に減少。国民の要求を満たすために90兆円かかります。でも国民が払う税金は40兆円しかありません。そこで増税では国民が納得しません。

じゃぁ、どうするの?結局、国債増発でツケは子孫に廻します、ということになるのは明白。子供手当を受け取る子供たちの出世払い?そんなこと、とんでもない、と若い人たちは反発するだろう。そうなると、残る手段は輪転機廻しておカネを増発するしかない。

どうも8月27日付け本欄で紹介した海外が日本を見る見方が一番冷静だったようだね。「DP=民主党のマニフェストはfantasyファンタジー夢物語。ばら撒きを誰が払うの。」

今日の日経一面「鳩山政権1ヵ月」の記事は正論だと思う。「野党時代は与党の政策の矛盾を追及すれば、それが追い風になった。政権与党になり、マニフェストに忠実であろうとすればするほど、財源をどこに求めるかという課題が新政権に重くのしかかる。当初、こうした問題に主導的に取り組むとみられていた管直人氏が率いる国家戦略室は、スタッフ不足などもあって役割がはっきりしない。」

うーむ、そういえば、テレビニュースに映った国家戦略室の立派な看板の裏の部屋の様子を思い出す。切れたままの電話回線がダラリと垂れたデスクだけの空室であった。

さて、話題は変わって、NY株。一昨日本欄「ウイットニー・ラリーも目標達成感」で引き合いに出したゴールドマンサックスもJPモルガンも好決算。でも昨晩の株価はGSが3.75ドル安の188.53ドル、JPモルガンが0.09ドル安の47.07ドル。(本稿執筆時でまだNYは引けていないけど。)

噂で買ってニュースで売るの典型である。株式市場に流れる証券系アナリストの希望的強気論と、ローン返済に追われ失業の危機に直面する街中の市民の間に流れる悲観論と、かなりの温度差があるね。

金価格もやっと上値が重くなってきた。ドルの対ユーロレートは1.49で1.50の大台目前なのだが、金価格は10ドル以上の急落。(それでもまだ1050ドル前後の高値圏だけど...。)

商品セクター内で、先行した金に割高感、出遅れた原油に割安感が生じており ここにも温度差が見られる。

さて、筆者の来週は中国出張。羽田ハブ空港から上海や香港へ直行便が飛ぶようになって便利なのだが、月曜昼間はたっぷり働いて夜便で中国。火曜、水曜と現地で日中フルに仕事して水曜の夜便で帰国(機中2泊)という無駄のないスケジュール。正直、キツイ!でも、金市場拡大とともに事務所拡張、人員増員に追われているので、あまり留守にはできないのだ。

2009年