豊島逸夫の手帖

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米国人投資家には円建て金取引の人気上昇中

2009年12月2日

昨晩NYと話しているときのこと。あちらでは円建て、あるいはポンド建ての金価格に人気があるというのだ。資産を円で持っている日本人投資家は、「ドル建て国際金価格が史上最高値更新しても、円高が相殺するので面白みがない」と嘆くが、資産をドルで持っている米国人投資家から見ると、「同じ金投資でも円建て金価格を売買したほうが旨みがある。ドル・リスクをヘッジする効果もあるし。」ということになる。なるほど、立場変われば、そういうことになるよね。色々お騒がせの日本の取引所も、夜間取引を米国でPRすると良いかもね。

さて、日本ではデフレ克服で日銀10兆円の資金供給。さらに追加的景気対策で二次補正予算4兆円規模も。政府説明では9兆円とも。数10億円の科学技術関連予算を仕分けする様が実に虚しい。焼け石に水とはこのことか。

今朝の日経3面にも書いてあるように、長期金利が上昇しだしてから初めて日銀が慌てて(財政赤字で増発される)国債の買い取りを積み増すような事態をどう避けるのか。そして、日銀の資金供給を受ける銀行は、有力な融資先も見つからず、結局、国債で運用する羽目になるのでは。

今月発売号から日経マネーに「From ゴールド To ワールド」という連載コラムを担当するようになったが、そのVol.1は「中央銀行にとって金価格は(金融政策への信認を評価する)通信簿のようなもの」という書き出しで始まっている。金価格↑、通信簿評価↓、という関係だ。通貨膨張は無限。金は有限。ここに、まさに足元ではデフレなのに金急騰というパラドックスを解く鍵がある。

ドバイショックが一過性で短期の価格調整が終わるや、金価格は1200ドル突破。バリック社が、売りヘッジ完了を宣言しても、本来は弱材料のはずだが、マーケットは無視。逆に、イラン水域に迷い込んだ英人クルーをイランが拘束したことを地政学的要因としてはやす。ホントに何でも買い材料に仕立て上げ、売り材料は無視するね。

でも、白鵬みたいに、金価格が1場所15日で14勝1敗みたいな連日の高値更新となると、勝てば官軍。勝ち組には余裕があるから手仕舞いを急がず。

(最後に、読者の皆様にお願い。)
上記の日経マネーを(立ち読みじゃなくて)買って読んだら、巻末の読者アンケート葉書で筆者のコラムに○をつけてくださいね。勝間和代さんと並んでの巻頭コラムなので、○の数があまりに少ないと惨めだから(笑)。
よくメディア関係の人たちには、これだけ毎朝書いて無料にされると商売がやりにくいと言われるので、お慈悲があるなら、1冊680円の雑誌は買って下さいませ。デフレで千円でべろべろになれるセンベロ居酒屋が人気だそうですが、酒でデフレの憂さを晴らすか、680円の日経マネー特集を読み、「いかにデフレ時代にホンキで自分年金一億円を作るか」を考えるか。

ちなみに酒を飲まず、憂さはスイーツで晴らす筆者は、センベロよりセンチャ。事務所近くの六本木ミッドタウンの天井高くゆったりとした作りの「虎屋」で1000円出すと、季節の和菓子と本格的抹茶の贅沢なセットが味わえます!

2009年