豊島逸夫の手帖

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24年型、円安変異種

2024年1月5日

年が明け、昨日本欄で書いた如く市場の潮目が変わった。

外為市場でも144円台まで円安が再燃した。
その理由が、能登半島地震の経済的悪影響を懸念して、日銀がマイナス金利解除を遅らせる可能性が出てきたから。マイナス金利解除を織り込んで円高に振れていたので、思わぬ「災害」が円相場にも影響を与えたのだ。誰一人として昨年末までは想像だにしなかった展開だ。

昨日ドル建て金価格も円安も同時に進行して、円建て金価格が新高値を連日更新するような状況は今年は期待できないと書いたが、筆者も全く想定しない展開であった。本当に相場は天変地異でも大きく変動するから分からないものだね~。

なお、昨日日経電子版筆者コラムに書いた原稿を採録する。

ヘッジファンドが日本株を見る眼「災害は買い」

筆者の友人でカリスマ投資家として知られるジム・ロジャーズ氏は、2011年の東日本大震災の時に日本株を買いまくったと語っている。
Buy disaster  (災害は買い)
同氏が好んで使う表現だが、新年のNY市場でも米大手新聞社が相次いで写真付きで、能登半島地震と日航機炎上を報じる中で「ここで日本株が下がれば買い」との声が聞かれた。

そもそも米国株の割高感が意識される中で、NY市場の投資家の目は海外に向いている。注目されているのは新興国株(除く中国株)。そしてアジアの先進国株という「別枠」で日本株にも目が向いている。政治献金問題などもトランプリスクに慣れている国の投資家の間では「結局、日本は与党が変わらず、相対的に政治的安定性がある」と語られる。株式市場改革や株主重視の傾向もまだ評価は定まらないが、その方向性は歓迎されている。とは言えウォール街全体からみれば、まだまだ日本株の存在感は薄い。とにかくエキゾチックな国程度の意識で、日本に関する知見もがっかりするほど低い。それゆえbuy disasterでもとにかく注目されればチャンスである。

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ジム・ロジャーズ氏がアラバマ州からウォール街に「上京」して初めて就職した会社があったという「思い出のビル」にて

2024年