豊島逸夫の手帖

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中東リスク悪化と米利下げ後退、2300ドル台でせめぎあい

2024年4月5日

イスラエルのシリア領内イラン大使館周辺空爆に対して、イランが黙っているわけがない。NY市場では48時間以内の報復が懸念され、ホワイトハウスの報道官も否定しなかった。中東リスクはエスカレートして原油価格は急騰。100ドル突破も視野に入る。

この中東情勢混迷は国際金価格にふたつの影響を与える。
ひとつは地政学的リスク。
そして原油高によるインフレ再燃リスク。
金価格上昇のダブルエンジンが全開と言える。

但し、インフレ再燃リスクは曲者だ。これまでFRBはインフレ収束に向けて引き締め(利上げ)を断行して、その結果インフレ率は2%台まで下落してきた。そこで、もう、そろそろ上げ過ぎた政策金利を下げる、所謂「利下げ」に転換すべしとの議論が強まった。その矢先に中東リスクエスカレートが生じたので、利下げは時期尚早との議論が浮上しているのだ。

昨晩はミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁が「24年に利下げはゼロの可能性も否定しない」と語った。
金利を生まない金市場は、既に24年利下げを大歓迎して織り込んでいたので、それをかくも真っ向から否定されると大ショックである。

まず、株が急落。金もカシュカリ総裁発言直後から20ドルほど急落を演じた。それでも2300ドル台は維持されているけどね。最高値圏での小さな波乱と言えようか。この際利益確定売りに走る投機家も少なくなかった。なお株急落は金上昇要因にもなる。

かくして国際金価格は史上最高値更新後、若干反落したが2300ドルという歴史的最高値圏に留まる。まだまだ上昇エネルギーが強い。

そして今晩には雇用統計というビッグイベントが控える。金価格も乱高下しそうだ。シートベルトを低く強く締めて!

2024年