豊島逸夫の手帖

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NY金先物価格も史上最高値更新

2024年3月7日

ロンドン現物、国内円建てに次いで、NY金先物価格も6日に2160ドルまで急騰局面があり、めでたく全ての金価格指標が史上最高値更新の運びとなった次第。

6日のNY市場ではADP雇用統計とJOLTS(求人件数)が、いずれも若干だが事前想定に比し下振れ。注目のパウエル議長議会証言は想定内の内容なれど、金市場は上げたがっているから「政策金利はピークを過ぎ、年内然るべき時に調整する(=利下げのこと)」との発言を重視した。まぁ無理やり史上最高値を演出したわけで、その後ろめたさ(笑)からか、NY金先物4月もの(アクティブマンス)は2140ドル台まで反落して引けたけどね。まぁ史上最高値祭りはこれで一区切り。

これからが重要だよ。歴史的高値圏を維持できるのか。

まずは明日の雇用統計、来週の米国消費者物価指数(CPI)と試練が待ち受ける。この統計はいずれも1月に上振れしたので、2月に上振れが続くか、下振れて結果的に調整するか。

それにしても政策金利が5.25~5.5%のレンジで、インフレ率がPCEベースで2%台半ばまで鎮静化しているので、結果的に実質ドル金利はプラス圏で高い水準にある。これは金価格には強い逆風になるはず。じわり効くのか、或いはモメンタム(勢い)が勝り上昇を続けるのか。24年もまだ3月入りしたばかり。先は長いね。

因みに6日はスーパーチューズデーの結果が出てトランプ氏圧勝。金市場は新たな地政学的リスクに身構える。さらにNYの地銀信用不安に関して救済の動きもあり、改めて米地銀と商業用不動産リスクにスポットライトが当たった。

そしてビットコインと金が同時に新高値更新という珍現象も。ライバル関係にあるはずだが、「FRB(=中央銀行)が発行した通貨ではない」という共通項があり、中央銀行不信を映す同時高となった次第。過剰流動性が市場のあちこちを回遊しているイメージもあるね。

外為市場では150円台から149円台の円高に振れたが、円建て金価格は底堅い。149円で「円高」という感覚も無理がある。

今後の動きは、基調は上げだが、大きな調整も1回はあろう。ないほうが怖いよ。

ここしばらくは歴史的高値圏でボラティリティー(価格変動)が激しくなるは必至。個人投資家、特に純金積立会員は一喜一憂せず、じっくり構える心理的余裕があろう。

2024年