2024年3月21日
FOMCで注目されていた金利予測で、今回は年内3回の利下げが見込まれていたことが判明。1~2月の米インフレ指標上振れで年2回利下げ説が浮上していたこともあり、3回は金市場で歓迎される利下げ回数だ。空売りの買い戻しも手伝い、NY金は一気に2200ドル台に。
更に日銀のマイナス金利解除で、利上げながら緩和姿勢を続けることも確認され、為替市場では一気に円安が進行。150円台で推移している。その結果円建て金価格は急騰している。
なお、要注意事項もある。
FOMCではQT(量的引き締め)を「かなり早い時期に」見直すことも明示された。QTとは量的緩和でバラ撒かれたマネーの回収である。この件については記者会見でも3人連続で質問が出るほど市場の関心事となっている。QTを今後も予定どおり続けると短期金融市場の流動性が激減して波乱が生じた前例が市場には鮮明な記憶として残っている。
折からNYの地銀が経営不安に陥ったことで、弱小銀行不安にはFRBも市場も神経質にならざるを得ない。
20日の記者会見でパウエル議長は、QTでどの程度までFRBの資産規模を減らすのか問われ、「必要十分(ample)だが、豊富(abundant)とは言えない量」と苦しい答えで応じていた。
そもそもQTで過剰流動性を回収すると、いみじくもバフェット氏が語った如く「誰が裸で泳いでいたか分かる」。最新の事例では仮想通貨の急激な価格変動。そしてエヌビディアの株価急騰。バブルか否か議論がヒートアップしているが、FRBの視点では「市場の緩み」の事例とも映り、利下げ見送りともなりかねない。
NY市場の最前線では利下げが2回か3回かということより、QT見直し論の方が「怖い」との現場の本音も語られる。
利下げもQTも今後のFRB高官発言などに振られる場面が増えそうだ。