豊島逸夫の手帖

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国際金価格、スポットで2110ドル超え

2024年3月5日

NY市場では「謎の金高」と噂されている。

ドル名目金利は4%以上で、インフレは収束に向かい、その結果、実質ドル金利は高止まり、外為市場ではドルインデックスが103とドル高気味だ。
にも関わらず、ドル建て金価格は史上最高値に迫る急騰を演じている。筆者もこのタイミングでこうなるとは全く予想していなかった。今週はこれからパウエルFRB議長の議会証言と2月雇用統計発表という重要イベントを控え、マーケットは「様子見に徹する」はずであった。

金の世界に入って40年を超すが「あるのだよね」。金市場には時々このような説明が付かない価格展開が。

まぁ敢えて言えば、ライバルのビットコインが先んじて先週以来60000を突破して急騰していたから金も頑張っちゃったのか。

更に、今週は中国で全人代が開催されており、恒例の首相記者会見が突然「廃止」されたことで、中国経済の不況感が益々昂じているところだ。中国が世界にデフレを輸出するシナリオが懸念される。

加えて深読みすれば、米最高裁がトランプ前大統領の予備選参入を認めて、いよいよ「もしトラ」から「ほぼトラ」になったことかな。

とにもかくにも、円は150円台ゆえ、円建て金価格も続騰。

日経平均と国内金価格が同時に最高値を付けるとは誰が想定したであろうか。

日経平均4万円と言っても東京エレクトロンとかアドバンテストなど少数のAI半導体関連銘柄に買いが集中。多くの銘柄は下がっている。この危うい構図の日本株高に対するヘッジとして金も買い増すことはポートフォリオ運用で正当化できる投資行動と言えよう。

国際金価格については今年もまだ3月ゆえ、まだ高値余地はある。
但し、ボラティリティー(価格変動)は激しくなるから、「有事の金のドカ買いは悪魔の選択」だよ。

2024年