豊島逸夫の手帖

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歴史に残る相場大変動、VIXで儲け高笑いも

2024年8月8日

NY市場には「してやったり」と高笑いの一団がいる。
VIX(恐怖指数)に連動するETFなどの投資商品が開発されており、平時のVIXが低い時に仕込んでおき、今回のVIX急騰時に売り手仕舞いに動いたのだ。

何せ長期間ソフトランディング説が市場に流れ、VIXは10台で低迷していた。そもそもVIXが話題にもならなかった。
それが8月5日午後8時くらいにいきなり27に急騰。10分後には「経済危機レベル」とされる60をあっさり突破。
ところがその後38まで急落。
長くVIXをフォローしてきたが、日中にこのような変動幅は初めての体験である。

かくしてVIX乱高下の背景にはVIXを投資対象にする人たちがいるので、変動幅が拡大して、マーケット全体のセンチメントを悪化させるのだ。

経験則によれば今回のような規模の市場波乱が起きると、30日以内に余震とも言うべき第二波が直撃するとされる。これを彼らはボラティリティーのイニシャルを使い「ボルマゲドン」と呼ぶ。更に余震が落ち着くには40~50日程度を要すると試算している。

振り返れば大手銀行が倒産したわけでもなく、雇用統計不調といっても、これほどの市場のヒステリックな反応は全くの想定外であった。
その要因としてマクロの視点ではAIを駆使した高速度取引が市場を席捲していることが挙げられる。売りが売りを呼ぶ展開になりがちな売買システムだ。
NYの現場からは「もはやトレーダーとは名ばかり。コンピューターのシステムエンジニアみたい」との嘆きも聞こえてくる。「人間様」は解説役というわけだ。

それにしても日経平均の動きが前日比で1000円以下なら「ヤレヤレ」という市場の反応を見るに、市場関係者の感覚も麻痺してきた。
筆者は「日本株が外海の荒波にさらされる場面が常態化するのは必定だ」と書いてきた。
株価が下がれば午後2時過ぎには日銀がETF買いで下値を支えてくれるという「護送船団方式」の時代は終わった。
海外での日本株の評判もがた落ちだ。せっかくここまで苦労を重ね、構造改革を推進して、その成果が上がりつつある矢先のことであった。今や日本株の狼狽ぶりは中小新興国並みとの烙印を押されつつある。

兜町における売買の7割は外国人プレーヤーと言われて久しい。これまでの所謂「外国人買い」の正体が、実は超短期ヘッジファンド主体であることも露見した。

日本株構造改革道半ばにして脆弱性が露わになり、振り出しに戻る成り行きが視野に入る。
ここは日本国内での金融監督関連官庁の「会合」により解決できる話ではない。地味だが粛々と日本株の評価を高める努力を続けるよりほかに有力な方法はあるまい。

さて、昨日のワールドビジネスサテライト(WBS)。実は筆者は寝てしまったが、チームジェフのスタッフが写真を送ってくれたので添付する。内容はこのブログ読者なら当たり前の話。ただテレビ局、それも経済番組が多いテレビ東京のスタッフでさえ「そうだったんだ」と新鮮な話だったらしい。まだまだ金に関する知識のレベルは一般的には低いね。
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3949d.jpgそれから私の親友が「スタジオ出演の時は局のメークさんがアラ隠ししてくれるけど、リモート出演だと顔のアラが丸見えだから何とかせい」とのアドバイス。確かにもはやスッピンで勝負はできないな(笑)。男性用メークセットを大丸札幌店で買うか~。

2024年