豊島逸夫の手帖

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FRB内部タカ派8名、ハト派9名の危うさ、円安も左右

2024年3月26日

今日は為替の話。

3月FOMC後の発言で、アトランタ地区連銀ボスティック総裁が年内利下げ回数予測を2回から1回に変えたことを明かした。粘着質のインフレと想定を超える経済指標の好転により、23年12月時点に比し、インフレが2%ターゲットに向けて下げ続けることに自信が持てなくなったと語っている。

更に、クックFRB理事は「ディスインフレの道は起伏が多く、平坦ではない。インフレ鈍化は時間がかかり、利下げに対して慎重にならざるを得ない。」と語ったことで、タカ派と見られている。

3月FOMC後に発表されたドットチャートでは年内の利下げ回数が、ゼロ回が2名、1回が2名、2回が5名、計9名いることが確認されている。3回派も9名だったが、4回派が1名いたことで「利下げ3回維持」となったわけだ。

際どい僅差ゆえ、利下げ開始時期を6月とすれば、4-6月期にはこの僅差が逆転することも十分に考えられよう。特にまだ3回の雇用統計と消費者物価上昇率を消化せねばならず、これら重要経済指標の上振れ或いは下振れで、予想利下げ回数が大きく変化する可能性が排除できない。パウエル議長も利下げを多めに見るハト派9名と、少なく見積もるタカ派8名の狭間で内部調整に手間取りそうだ。

この僅差の影響をまともに受けるのがドル円相場。4-6月期はFRB高官発言が特に重要視されよう。FRBがハト派に傾けば予測される利下げ回数が増え、ドル金利が低下。ドル安・円高が進行して140円台後半の動きになる可能性がある。対してタカ派になびけば155円が視野に入る。まさに「データ次第」の展開で大荒れの地合いが予想される。このような視界不良の市場環境では当局の為替介入も慎重にならざるを得まい。通貨投機筋は仕掛けやすい「チャンス」と見て臨戦態勢である。

昨晩は日経ニュースプラス9にスタジオ出演して、日本株と為替の話を駆け足でしたよ。持ち時間6分できっちり10秒残しでまとめたがいくつかすっ飛ばした部分もあった。
金については某地上波が金特集を制作中。

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2024年