豊島逸夫の手帖

2024年10月23日

ＮＹ金は２７００ドル台半ばまで連騰。

筆者が気になるのは「誰がＮＹ市場でこの高値の金を買っているか」ということ。いろいろ現地のトレーダーにヒヤリングしたが、少なくとも長期で金を保有するマネーではない。
もし、大手年金基金が数十年後の年金受給者を考えた超長期運用の一環として金を買い増しているなら、健全な市場環境と言える。
しかし、そもそも年金基金用に開発された金ＥＴＦが今や短期金売買のツールになっている。金ＥＴＦのストック（残高）も確かに増えているが減少する時期もある。

今週はいよいよ米大統領選挙とＦＲＢ利下げ判断というふたつの大きな不確実性が最も強まっている時期だ。取りあえず安全資産の金にマネーを逃避させ、様子を見る姿勢が目立つ。このふたつの不透明要因に方向感が出れば「材料出尽くし感」で売られるリスクもある。

筆者の長期強気姿勢は変わらないが「上げ続ける相場は絶対ない」ことも確かだ。

振り返れば１９９９年には円建て金現物小売価格が９００円台！まで下がった。欧米では「金２００ドル時代到来」などと言われたものだ。しかし日本人はバーゲンハンターゆえ、その下値を買い漁った。
そして今や１４０００円台！９００円台で買った人はどうしているのかなとニヤニヤ考えてしまう（笑）。私の友人にも起業家でキロバー１００本買った人とか、金貨が１００個入った金貨千両箱を買った人などさまざま。普通のサラリーマンクラスでも当時から純金積立で金をコツコツ買ってきた人たちには感謝されているよ。