豊島逸夫の手帖

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NY金、2370ドル台へ急落

2024年418

17日のNY金(中心限月6月もの)は30ドルほど下落して本稿執筆時点(18日早朝)には2377ドルを付けている。
なんだか久しぶりの下げでホッとしている。あのまま2450ドル、2500ドルと跳ねていたら、山高ければ谷深し。急騰後、急落の展開になっていたであろう。何せNY金市場では実需とはかけ離れた世界で投機マネーが買い上げているのだから。それゆえ健全な調整局面と見ているわけだ。2300ドルから2400ドルへの上昇は明らかにスピード違反。ここは値固めをしておかないとバブル的結果を招くのは必至だ。それでもNY市場からは2500ドルを早く見たいという気持ちが伝わってくる。

振り返れば先週金曜日に24時間で2350ドルから2450ドル近傍まで一気に100ドル暴騰後、同日に100ドル暴落した。ビットコイン並みのボラティリティー(価格変動)だった。突然の中東リスクエスカレートに金市場も消化しきれず当惑していた。

しかし、地政学的リスクは陳腐化も速い。イランがおとなしくなる兆候が見えれば、市場を動かす材料としての鮮度は落ちる。
その後パウエル議長の爆弾発言が新たな材料となったことは昨日書いたとおりだ。

ドル円相場は154円台で一進一退。
円建て金価格も連日のように最高値更新が続いてきたが、取りあえず一服というところ。

なお、株式市場も下げモード。こちらは半導体祭りではしゃぎすぎたかとの反省で二日酔い気分。日米とも売られ、しかもパウエル発言でドル金利が高い状態が長く続くとの予測が主流となり、逆風が強まっている。

同じ下げでも株の方は深刻だ。
日経平均も38000円を割り込んだが、ここは出遅れ組の外国人投資家がジックリ買いに入るであろう。日本株に最も悲観的なのが日本人投資家。この対比が鮮明だ。

ところで、日本では地震が連発して心配だね。
金の世界でも金を現物で自宅に保管している人は山津波などで流されると、所有権を主張することが難しいので、やはり信用できる機関に保管してもらう傾向が強まる。以前はタンス預金ならぬタンスゴールドが多かったけどね。それでも企業破綻で保有株が紙切れになった苦い体験を味わった人は「誰も信用できない」とばかり現物を自宅保有にこだわる。金の保管は社会の断面図を映すので興味深い。

 

 

2024年