豊島逸夫の手帖

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中東迷走、有事の金は既に12日に暴落、週明けに反騰するか

2024年4月15日

(本稿は月曜早朝に書いている)
金市場には1970年代から現在に至るまで「中東筋」という投機集団がいる。筆者も見知った顔で、独自のソースで中東情勢に関する生の情報を持っている。イラク戦争開戦時には、その6か月前くらいから開戦必至と読み、金買いポジションを膨らませ、いざ開戦となった時、一斉に利益確定売りに走った。「噂で買ってニュースで売る」という常套手段の先駆者だ。

今回もNY時間12日金曜日にイラン報復の可能性が高いとの一般的な「噂」で強力な買い攻勢を仕掛け、NY金を2440ドル超の高水準まで100ドル近くも急騰させた。数時間の値動きとしては異例である。しかしその直後から何らかのイラン報復攻撃の確率が高まるや一転利益確定売りに転じ、NY金を2350ドル台まで100ドル近く急落させた。行って来いの典型的ゼロサムゲームだ。
この有事の常套手段は「噂で買ってニュースで売る」と呼ばれ、その後他の市場でも起こるようになっている。

なお、週明けのNY金はそれでも2300ドル台の高値圏で推移しよう。中東情勢がエスカレートすれば2400ドル台回復の可能性もある。
今回の中東迷走では様々なシナリオが乱れ飛ぶことが金の中東筋にとって、この常套手段を駆使しつつ短期的売買を繰り返す格好の機会となっている。

なお、彼らの煽りで「有事の金」を買った個人投資家は梯子を外され高値を掴まされた。これを教訓として筆者は「有事の金の爆買いは悪魔の選択」と冷静な行動の必要を説いている。やはり金はじっくり買い増すものだ。

2024年