豊島逸夫の手帖

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米利下げ遠のく

2024年2月1日

FRBが最も重視するPCEインフレ率が、過去6か月(2023年7月~12月)ベースで年率2%を割り込み、1.9%を記録してもパウエル議長は利下げへの確信を持てなかった。FOMC後の記者会見で明確に現時点では利下げする確信が持てず、利下げを急がないことを明示した。

しかし、現時点での名目政策金利は5.25~5.5%の高水準ゆえ、インフレ率が順調に下がれば下がるほど実質政策金利は上昇する。そもそもFRBは名目で利下げしても景気抑制的(restrictive)な水準に留めると明言してきた。米GDPが年率3%を超える水準で推移していることが、FRBの利下げバイアスを抑えている。ここで市場が恐れるのは利下げ開始を例えば6月まで引き延ばし、その間に労働市場が悪化することだ。FRBが後手に回り、年後半の利下げペースが加速することが危惧される。0.75%刻みの利上げが3回続いたことを思えば、利下げペースも同様に大幅になることも絵空事とは言えまい。これは金価格には逆風となる。

なお、31日のNY市場でFOMC声明文発表前に異変があった。
地銀のNYコミュニティーバンクの株価が突然3割以上急落してドル金利も下がったのだ。地銀に関して危惧されていた商業用不動産破綻リスクが顕在化かとの憶測が流れた。その時点で3月利下げ確率が急上昇する一幕もあった。QT(量的引き締め)が今後も継続すれば、昨年英国で生じた英国債波乱のような思わぬクレジットクランチ(信用収縮)が米国でも生じるリスクがある。これは金価格には上げ要因だ。

かくして、NY市場には利下げ先送り、QT継続のリスクを「予告編」で見せつけられた感が残る。
結局、国際金価格は2040ドル台で取引を終えた。

今日の写真は明石のタコ@誠鮨。日経の「交遊抄」に2回目で出た時に紹介した店。あのコラムに2回出るのは珍しい。多分担当が間違えたのではと思っている(笑)。一回目は当時の大蔵省にいた義兄からゴルフクラブを貰ってゴルフ始めた話を書いた。丁度大蔵省がゴルフ接待スキャンダルにまみれていた時。国際畑で全く国内の空気が読めていなかった筆者に家族が呆れていたのを覚えている(笑)。人間発見シリーズにも出た時はワールドゴールドカウンシルに在籍していた頃で、毎年福島のゴルフホームコースで「地獄のゴルフ特訓合宿」を主宰している話も書いた。朝5時起床。まずランニング。次に練習場の球拾い。そして朝食。練習ラウンドの後は各自反省研修。バンカーでミスした人は2時間バンカー練習。皆手に血豆を作っていたっけ。ルールとして仕事の話をしたら即2ぺナ。年齢や地位に関係なく、とにかくゴルフがうまい者が一番偉い世界。そんな地獄の特訓にモノ好きなゴルフ狂が20人近く参加していた。時は過ぎその面々もゴルフの世界で「三途の川」を渡っている。飛ばず、寄らず、入らず。もはやゴルフができれば幸せという無我の悟りの世界だな。合掌。最近ではスキーをしている写真を載せたいという企画があって、乗ったのだがコロナで流れてしまって残念。

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2024年