豊島逸夫の手帖

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中東地政学リスクで金続騰

2024年9月24日

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米0.5%利下げによる買いが一服したところに「イスラエルによるレバノン空爆、ヒズボラ幹部狙う」の報が飛び込んだ。イスラム教シーア派民兵組織のヒズボラを一機に弱体化させる意図があるようだ。2006年の第二次レバノン戦争では、イスラエルはレバノンに1か月地上軍を展開した。今回はレバノン全域のヒズボラの拠点を叩くようだ。同国内のヒズボラ拠点1300か所を標的として490名死亡、1600人負傷とされる。ガザ、西岸、そしてレバノンの三面作戦となり、中東リスクはエスカレートの一途の様相である。最近「中東リスク」も市場への影響は陳腐化していたが、今回は新次元の戦争拡大であり、金市場も買いで反応した。

なお、週明けのNY市場では、FOMCでの0.5%利下げについて参加者たちが講演などでいろいろ発言した。0.25%支持者もいれば、異例の反対論をぶち上げ、利下げすべきではない、インフレ再燃を招くとの議論(ボウマン理事)もあり、FRBも一枚岩ではなく、内部の亀裂が露わになっている。パウエル議長の得意の根回しも今回ばかりは不十分のまま本番を迎えるに至ったようだ。利下げ問題は今後も後を引きそう。金にとって買いにも売りにもなる流動的な状況である。

2024年