豊島逸夫の手帖

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NY金、2360ドルまで上昇

2024年5月10日

2300ドル台の値固めも順調に進んで、2360ドル台(NY金、中心限月6月もの)まで上がってきた。
年内利下げの可能性が強まると金は買われ、利下げ観測が遠のくと金は売られる。

さて、中国の金の爆買いが話題になっているが、中国人の金買いにはふたつのパターンがある。
まず、文化的金選好度が高いことによる人民の金地金、金製品(現物)買い。これは四半期ごとの需給統計で明らかになることで、日々の金価格変動に即影響を与える話ではない。

次に、最近目立つ中国人の投機的金売買。舞台は上海黄金交易所。設立当初筆者がアドバイザリーとして招聘されたところだ。ここは金現物の受け渡しと同時に金の短期売買の場でもある。この投機的金売買が最近目立つようになった。アジア時間帯に国際金価格に影響を与えるまでになっている。結局不動産バブルはじけ、仮想通貨は禁止され、株は冴えないということで消去法により金が投機筋に狙われているのだ。中国版ヘッジファンドが暗躍している。この人たちと名刺交換すると名刺の裏に誇らしげに「リーマンショック予測的中」など怪しい「実績」が並ぶ。こういう人たちの金売買が膨らみ国際金価格に影響を与えるまでになったわけだが、所詮ゼロサムゲーム。筆者は無視している。中国の本当の爆買いは庶民の現物金購入(歴史的高値圏でも減らない)と中国人民銀行の公的金購入だ。くれぐれも派手な投機的売買には惑わされないように。中国の金爆買いと言っても話半分くらいに聞いておく方が良かろう。

なお、中国の大手商業銀行の売れ筋をみると個数では銀のメダルが多い。しかし金額ベースでは圧倒的に金。銀は「貧者の金」とはよく言ったものだ。プラチナは売れない。銀色なら安いシルバーで十分というのが中国人の一般的感覚である。

2024年