豊島逸夫の手帖

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ワンノッチ円安、日本9連休にNY投機勢は手ぐすね

2024年12月20日

円建て金価格に思わぬ円安という神風が吹いた。
昨日の日銀金融政策決定会合で、植田総裁が追加利上げまで「ワンノッチ」と語ったことが、投機筋の円売りに火をつけたのだ。日銀は利上げを遅らせ、FRBは利下げを遅らせる。円安要因とドル高要因の共振だ。
しかも日本が12月28日から1月5日まで異例の年末年始9連休に入る直前にドル円市場が新たな円安段階に入ってしまった。

欧米は12月23日から本格的クリスマスモードに入るが、26日以降は概ね休暇明けで実質新年相場を見据えた展開になる。特に12月30日から1月3日までは要注意だ。
日本勢の留守を狙い、思惑による新たな円ポジションが醸成されやすい。

今回は植田日銀総裁の「ワンノッチ」発言が円売りに火をつける結果になったので、日銀としても結果的に自らの首を絞めることになってしまった。追加利上げまで「あと一歩」という意味を込めたのだろうが、市場は「ツー、スリー??」と勝手に拡大解釈してしまう。
対してNY市場はパウエルFRB議長の利下げペース鈍化発言でドルインデックスが108を超え、ドル高の地合いが席捲している。

結果的に海外投機筋はモメンタムに乗り、ドル買い・円売り再開志向になりやすい局面だ。
対して日本勢は概ね指をくわえて見守ることになる。
日本の金融当局は仮に160円になれば、為替介入チームが正月休み返上となるかもしれない。

「ワンノッチ」という表現はさすがに英語能力の高い植田総裁の発言だけあって海外勢にも「刺さる」。既にワンノッチ円安なる言い回しがNY市場では聞かれる。植田総裁の流暢な英語が日銀には予期せぬ禍をもたらしたと言えようか。

今日の日経に筆者の「戦友」ともいえるジョージ・ミリングスタンレー氏のインタビュー記事が出ていた。よくまとまっているので一読を勧める。
ジョージはそもそもFT記者で金調査会社に転職。更にWGCにリクルートされた。その後ステートストリートに転職。SPDRゴールド・シェア担当で、専ら調査の仕事をしている。筆者にとっては今時数少ない年上の懐かしい友達だ。
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2024年