豊島逸夫の手帖

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海外勢、日経平均38900円、円150円視野

2024年2月13日

金価格は膠着状態ゆえ、今日は日本株爆上げについて日経電子版コラムに書いたことを採録する。因みにこの原稿は電子版マーケットコラムでアクセス数が1位になった(写真参照)。これを書いた朝には日経平均37000円であったが、その後6時間で38000円に爆上げした。

12日のニューヨーク株式市場では、今回の米株式相場急騰が人工知能(AI)や半導体関連の銘柄に特に集中していることから、1990年代のドットコムバブルとの比較が熱く議論されていた。代表的事例として半導体大手エヌビディア株の異常な値上がりが、バブルを想起させるとの見方に対して、それでも90年代の異常な割高感に比べれば、いまだ「バブル感」とは程遠い、と強気派は説く。徐々に広範囲のセクターに買いが拡大しているとの指摘も根強かった。

株価上昇のモメンタム(勢い)は、日本株にも「伝染」している。年初に日本株を買った外国人投資家の間では、早くも利益確定売りの動きも見られるが、出遅れ組の新規買いも顕著だ。日経平均株価で3万7000円前後から買いを入れるということは、まずは3万8900円、さらには4万円程度をターゲットに設定しているわけだ。円相場が1ドル=150円に接近していることも、日本株買いの抵抗感を薄めている。

米株の急騰スピードを体験しているので、日本人投資家が抱く上値抵抗感とは異次元の相場観で動いていることが、彼らとの会話から感じられる。2023年10〜12月期の米国内総生産(GDP)伸び率が前期比3.3%(季節調整済み年率換算)を記録したことが、米国経済に対する自信を市場内に醸成しているのだ。

それにしても、24年2月の段階で日経平均3万7000円突破は全くの想定外だ。高値リスクも無視できない。特に中国経済が不動産バブル崩壊でデフレ傾向を強め、当局のなりふり構わぬ株式買い支え策や監督当局トップ解任劇が、投資家の不安感を強めている。投資マネーが中国離れで日本にシフトする現象が指摘されてきたが、今後、中国経済の危機感がさらに鮮明になると、日中株価共倒れリスクさえ無視できない。トランプ前米大統領の対中強硬発言が市場の不安感を刺激する可能性もある。

それゆえ3万7000円を超えた水準から新規参入する海外勢は、基本的に短期性のマネーとなろう。中長期性のマネーは3月ごろまで日本株の展開を注視して「しかるべきとき」に日本株買いののろしをあげるシナリオが考えられる。

総じて、ウォール街での会話の隅々に「ジャパン」の名前が出る。極めて珍しい現象だ。金融市場を大きく動かした日銀幹部の発言のごとき突発的要因が生じれば、いつでも動けるように臨戦態勢を敷いているといえよう。

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2024年