豊島逸夫の手帖

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NISAの危うさ

2024年7月8日

新NISAについて意見を聞かれる機会が増えている。
確かにこれまで投資について疎い人たちが健全な投資を始める機会にはなっている。とは言え個人投資家のカテゴリーで見ると、ざっくり現役組が株・投資信託を積み立て始めたものの、高齢者層がバブル期に買った株式の「やれやれ売り」に走り、結局個人投資家部門はそれほど増えていない。では誰が日本株を買って日経平均・TOPIXが上がっているのかと言えば、結局外国人投資家たち。兜町の売買の6~7割は海外勢いという構図は変わっていない。

それから新NISAをきっかけに投資を始めた人たちに関して、まず基礎的知識を既に持つ人たちはまあまあ安心して見ているが、老後までの積立期間にまたリーマンショック#2などの金融危機が起こった場合に冷静に対処できるか。つまり危機で株価が暴落してもパニックにならず余計なことせずにやり過ごせるか。株価がどんどん下がってゆく過程を耐え抜くには普段からストレスに強い「胆力」を養成せねばならない。しかし胆力などおよそセミナーで教えられることでもないし、本の説明で強化されるものでもない。まさに自腹を痛めて辛い経験をすることで鍛えられるものだ。ところが日本人は基本的に受験世代を通過してきているから、どこかに正解があるはずだと理論的に考える。そこで解答が見つからないとオロオロするばかり。先日知り合いの優秀なアナリストがA、B、Cの三つの世界経済情勢シナリオをきれいにまとめたレポートを送ってきた。「よく、まとめたね」と言ったら「それでA、B、Cのどのシナリオになりそうでしょうか」と困惑の表情で聞いてきた。説明はうまいのだが決められない。決めることが投資なのだけど。

今本屋に行くとNISA本が並んでいるが、実際に長期投資の経験がない人たちが解説役に回っているので、この最も肝心な点がスルーされている。
知識の量と投資の成果は一致しないもの。頭でっかちになるな。

さて、足元のNY金は雇用統計が良過ぎず、悪過ぎずという結果で、米利下げ楽観論が再浮上。NY金は一時2398ドルと2400ドル寸前まで続騰した。とは言え雇用統計と今週発表のCPIは上振れ・下振れするのでほどほどに見ておくべし。

2400ドル以上はトランプリスク次第。因みにトランプリスクと円安について週末の産経新聞記事にてコメントした。↓

政局が揺らす為替市場 仏下院選、極右政権回避で警戒感和らぐ 米大統領選は見方が錯綜 - 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20240705-4QCOIOU6GBJXZORDPP3RSURKRU/

さて、本日の札幌は朝方18度くらい。昼には23度まで上がり「蒸し暑い」という感じ。写真は31階からみた花火大会。

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そして到来物の上品な桃の和菓子。自宅で育てた花をさりげなく添えて。センスが光るね。

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夕食は焼き鳥チェーン「串鳥」のテイクアウト。北海道は鳥が人気だね。

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そろそろ札幌にも観光客軍団が本格的に押し寄せている。知り合いが東京から1泊2日でエスコンへ来るが、疲れにくるようなものだよ。エスコンのアクセスだけでも超大変だ。

2024年