2024年12月16日
もはやNY市場はクリスマス休暇モード。今週の12月FOMCが最後のメインイベントで、その後は実家に帰るなど休暇に入る市場参加者が少なくない。まだ市場で売買を続けているファンドも無理はしない。この時期にバタバタしているプロは余程大きな損失を抱えているケースが多い。しかし今年に限っては儲け過ぎという贅沢な悩みも見られる。まず金を買った人。そして株式市場でエヌビディア株を買った人。為替市場では円キャリーで莫大な利益を上げた人。債券市場では米国債売りポジションで大勝ちした人。
プロの場合は今年の成績が良過ぎると来年それ以上の結果を期待されることもあるので、今年好調でもほどほどのところで抑えておくという自衛心理が働く。或いは割り切ってリバランスのための売り、または買い注文を出すところも少なくない。
結果的には日々の相場が理論では説明できない動きが出やすい。
それをまともに受け、あれこれ説明を求めるのは無益なことだ。筆者はこの時期になるとFOMCは例外としても、日々の相場の動きをフォローすることは敢えて控えている。その点報道する側の人たちには同情を禁じ得ない。放送時間を短縮するわけにもゆかず、面は埋めねばならず、必然的に話が細かくなる。今年の回顧とか来年の展望の類も連日記事にできることではない。今年の場合は韓国政変とかトランプ政権移行チームの動きなど政治的に大きな話題はあるが、それでプロがこの時期に新たなポジションを仕込むことは稀だ。
これが実態であるからNISA初心者組の人たちには「休むも相場」ということを頭に入れておいて欲しい。話の濃淡が見極められず、単に異常な値動きにオロオロする様を見ていると「まぁまぁ、ここは肩の力を抜いて冷静に見守りましょう」とおせっかいのひとつを言いたくもなる。
因みに筆者がトレーダーで働いていた頃はこの季節になると毎年決算で結果を出す必要がない個人投資家が羨ましかった。
プロの心理も単純なもので「あと1週間あればポジションを倍返しで勝つチャンスもあったのに」とか「決算対策が遅れ、期末近くの相場波乱に巻き込まれ、結局暗いクリスマスになってしまった」とか悔いる事例が珍しくないのだ。
ここが個人投資家でもプロに勝てるチャンスにもなる。
以上、「決算がないアドバンテージ」にまで思いが至らず、最後まで相場に振り回される真面目な投資家の方々へのメッセージである。