2024年9月13日
2500ドル台前半で膠着していたNY金が昨晩突然急騰。中心限月12月ものは2587ドルを付けた。KITCO価格グラフは現物スポット価格だが、やはり2560ドルに迫っている。
急騰が始まったのはNY市場でPPI(生産者物価指数)が発表された直後。
なぜ、このタイミングで?
9月に入ってからのNY市場は9月17~18日開催のFOMCがメインテーマ。いよいよ米利下げが始まることが確実視されている。とは言えFOMC前に重要な経済インフレ指標が3つ発表され、その結果次第では利下げペースが大きく変わるリスクも秘めていた。雇用統計、CPI(消費者物価指数)、そしてPPI。
そして発表された結果は3指標とも大きなサプライズにはならず、0.25%か0.5%幅の利下げになることが確認された。
そこで焦ったのがNY先物市場で金の空売りポジションを抱えた投機筋。慌てて買い戻し(ショートカバー)に走った。FOMC直前に金価格が大きく動くことはあるまいとタカを括っていたのだが、見事に逆を突かれた。
更に、NY金のチャートを見ると200日移動平均線と50日移動平均線の両方を上抜けた形となり、テクニカルにもインパクトがあった。
ECBが利下げを発表したことも「世界的利下げの潮流」を連想させ、金利の付かない金には追い風となった。
かくして、新規買いというよりショートカバーで金価格が急騰したので、このまま2600ドル突破は考え難いが、中期的に2700ドルの可能性は強まった。
但し、円建て金価格は円相場が160円か140円かで相当違うので、円建て金価格の上昇ペースはこれまでのようなスピードにはなるまい。ドル建ても円建ても連日高値更新などという状況は当面見込めない。ここはこれまでと大きく異なるところだ。
中長期的には国際金価格の上昇トレンドがワンランクアップしたと見るべきであろう。
2600ドル、2700ドル・・・。金がこんな歴史的高値圏の射程圏内に入ってきたのだ。