豊島逸夫の手帖

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雇用統計でNY金は下げ

2024年9月9日

8月雇用統計は新規就業者数が142,000人で事前予測を若干下回った。更に6~7月分が86,000人も下方修正された。これはサプライズ。
失業率は4.2%で概ね想定内。但し実質失業率(就職を諦めた人やフルタイム労働に就けずパートタイマーに甘んじている人を含めた数字)は7.9%と2021年10月以来の高水準。
総じて利下げしなければ労働市場が更に悪化する可能性があり、9月FOMCでの利下げ開始を正当化する結果と言える。

なお、先週発表されたベージュブック(地区連銀12行の地域経済レポート)によれば労働環境が悪化していることが確認できる。
例えば、NY連銀はこう報じている。
「企業は今までより採用を見送る方針。採用も大統領選挙の不透明感により人員増は棚上げ、人員入れ替えにシフト。その結果リモートワーク中心の企業の採用は容易になった。欠員は補充されず。リクルート市場では就職決定のプロセスが長引く。」
更にミネアポリス連銀は個人消費についてこう報じている。
「観光客の購入は必要なもの(need items)に限定。欲しいもの(want items)は後回し。来店客は減少。来客も「冷やかし」が多い。」
このベージュブックはパウエル議長も重視しているので、長文のレポートだが筆者も必ず目を通すことにしている。
それから雇用統計発表後にウォラーFRB理事が講演。利下げ幅0.5%も「オープン=否定しない」と語った。

さて、雇用統計の結果を受けドル金利は下落。ドル安も6日には進行して円相場も141円を割り込む場面もあった。しかし今日(月曜日)には143円まで戻している。
NY金(中心限月12月もの)は雇用統計前の2540ドル台から2510ドル台まで下落。雇用市場の軟化は金にとって買いの材料のはずだが、利益確定或いはポジション調整の売りが優った。
いずれにせよ市場が身構えた割には金もドルも株も大きな動きにはならず。やや拍子抜けの感あり。
やはり明日の米大統領候補討論会が気になるのかな。
利下げ幅が0.25%だろうと0.5%だろうとそれほど大事(おおごと)にはならないという市場の雰囲気。

ところで、筆者はマーケット動向より札幌から帰京以来、東京の高湿度にブーイングの連日だよ。何だ、このまとわりつくような高温高湿度は。東京在住の皆の衆はこの夏この異常気象によく耐えたね~。
来年の札幌サテライトオフィスは9月まで延長だな。とにかく満足な屋外運動もできず運動不足状況。しかもうっかり東京近郊で遠出すれば雷・豪雨などで新幹線などいつ止まるか分からん日々。
と言うわけでNYへ出張という名目で逃避を計画中。

2024年