豊島逸夫の手帖

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円キャリートレードで金を買ったヘッジファンド

2024年8月7日

組織で働くトレーダーは、自分のカネで金を買っているわけではない。社内でカネを借りて、金を買っているのだ。
NY市場のトレーダーなら、ドルで金を買うとすると、年率3~4%の社内金利を払って、社内で資金調達するわけだ。
それが円で借りれば、ほぼゼロ金利。
そこで、まず円を借りて、即外為市場で売り払い(円売り)、ドルに換えて、金を買うという手法が人気化した。超低金利の円ならではの活用法だ。
しかるのち首尾よく金が上がれば利益確定売りして、同時に借りた円を返済する。
結果的に外為市場でドルのレートも上がったので為替差益も出た。
ドル高なのにNY金高という教科書とは反対のことが現実になった。
しかし、都合よいことは続かない。
日銀が利上げに踏み切り、更に追加利上げを示唆したことで、円で借りて、金を買うメリットがなくなった。
それどころか円高が想定外に進行すると為替差損が生じる事態になった。
これではたまらんと、ヘッジファンドは円キャリーを巻き戻し、円を買い戻し、買っていた金も売却に動いた。
これが円キャリーで金を買って失敗した事例だ。
なお、円キャリーで米国のテック株を買った事例も多い。

さて、予告どおり本日のテレビ東京ワールドビジネスサテライト(WBS)にリモート出演して金について語る。
ラテ面によれば「株・為替に注目の中、金が高騰」という特集名になっている。

今日の写真は大通りのテレビ塔。
3948a.jpgそしてよつ葉牛乳のミルクたっぷりソフトにご満悦。
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2024年