豊島逸夫の手帖

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中央銀行が金を売りまくった時代

2026年10月6日

最近AI経由で初心者が入ってきているので、改めて初歩的なことを書いておきたい。

今でこそ世界の中央銀行(特に新興国)が、外貨準備としてドルを売却して金を購入しており、これが金価格を支えているのだが、1990年代から2000年代初頭にかけては、欧州などの主要中銀が争うように公的保有金を売りまくり、金価格も遂には250ドル(!!)という超安値に沈んだのだ。

当時の金市場では「次はどこの国が金を数百トン売るのか」という様々な噂の類が乱れ飛び、金ディーラーも戦々恐々としたものだ。
金価格が下がって、最も損をするのは金を大量に保有する自分たちゆえ、中央銀行側も1999年に年間公的金売却量を400トンに留めるという「自主規制」を決めるに至った。ワシントン協定と呼ばれる。その後は各中央銀行が年間売却額の枠を争って取り合う時期もあった。
しかし、今やワシントン協定など過去の遺物となっているわけだ。

さて、どこが売ったかと言えば下表のとおり。

4389(表).png

では、なぜ売ったのか。
有事の金は不要、有事にはドルという考え方が広まっていたからだ。
歴史的には金本位制から管理通貨制に移行して、中央銀行が金融政策を仕切り、金に頼る必要はないとの発想が一般的になったのだ。
管理通貨制度が「性善説」とすれば、金本位制は「性悪説」とも言えよう。
「人間に任せておけばよい、中央銀行は信頼できる。」との確信が支配したのだが、その「確信」はリーマンショックを機に脆くも崩れ、中央銀行が金を買う時代になったのだ。

それにしても結果論とは言え、英国などは平均価格300ドル未満で400トン近くの公的保有金を売り払ってしまったのだ。当然この事実は後に野党の恰好の追求材料になったものだ。
スイスやベルギーなどは小国にも関わらず、1000トン以上も金を売った。ショッキングな事実だ。

歴史的に俯瞰すれば、将来的にはAIが金融政策を仕切り、再び金など不要とされる時代が来るのだろうか。
ふと筆者は考えたりする。勿論、想像上の事だ。誰にも分からない。
まぁ今生きている人が生存中にそんなことは起きないであろう。
そんなふうに書くと「甘い!」との声も聞こえる気がしないでもないが・・・。

2026年