豊島逸夫の手帖

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FOMCの「獅子の子落とし」

2014年1月30日


トルコ・南ア・インドなど主要新興国の中央銀行の利上げも空振りに終わり、市場の不安が再燃する中で発表された今回のFOMC。
元はといえば、米国量的緩和マネー流出が主因である。
そこに配慮して、今回のFOMC声明文の中に、一言でも「新興国経済の不安定性」などの表現が盛り込まれるだけでも、市場は励まされたと思う。
しかし、新興国経済不安に関する言及は一言もなかった。
FOMC側にしてみれば、「緩和マネー流入で新興国経済が潤ったことは事実であり、その恩恵を構造改革に使わなかった国の面倒までは見きれない」という気持ちなのだろう。
新興国側も、通貨防衛のための利上げの時点で、反省を匂わす一言でも記しておけば、FOMCの「心象」も異なったかもしれない。
マーケットにも「市場とのコミュニケーション」を重視する姿勢のFRBであれば、足元の新興国経済大変調への対応として、月100億ドルという量的緩和縮小額の減額もあり得るとの期待感もあった。
しかし、足元の株価乱高下という市場の悲鳴は無視された。
FOMCとしては2年半ぶりの10-0の全会一致の決定による「現状維持」であった。ダラス連銀フィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀プロッサー総裁の「タカ派両巨匠」も異見をはさまなかったのは、バーナンキ現FRB議長への「はなむけ」であろうか。
FOMCは、「我が子を谷底に突き落とし試練を与える」獅子のごとく振る舞った印象さえある。「修羅場を経験しなければ、緩和マネーをコネや腐敗で乱費し、構造改革に廻さない新興国体質は変わらない」という気持ちなのかもしれない。


かくして、FOMC声明後の市場では、マネーが米国債と金に流れる「質への逃避」現象が顕著となった。
10年債利回りは前日の2.74%から2.67%まで続落。
金価格はFOMC前に前日比約15ドル上昇して1268ドル(スポット)。
円相場は円高に振れ102円水準の攻防となっている。
今回の円高は、「避難通貨」としての円買いと、日米金利差縮小による円買いの相乗効果が働いていることが特徴だ。欧米市場主導型なので、日本時間の夜の時間帯の動きが重要となる。
株式市場に関しては、日本は相変わらず円高を嫌気するが、グローバルなマネーフローを見れば、新興国から逃げ出したマネーの受け皿のひとつとして日本株は見直されている。
そもそも、FOMCが米国雇用統計の悪化と新興国経済変調にもかかわらず現状維持を貫いたのは、米国経済好転に自信を持っているからだ。経済の現状認識に ピックアップという表現を使ったことが、そのなりよりの証拠といえよう。この一言は、新興国発のテールリスクで世界的株安の連鎖という懸念の否定と読める であろう。
この程度の円高でめげるようでは、谷底から這い上がってくる強靭な相場は育つまい。


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保険と金は「有事の備え」という意味で実は共通点が多いのですよ。欧米では金を組み込んだ保険商品もあります。
ホンネで語る二人のやりとりも、野球でいえば、インターリーグみたいで自分は楽しんでいます。


そして、そして、キター!!!花粉が~~
昨日は終日、グシャグシャ。
今日の日経CNBC生出演も、本番中に、鼻水が出たりしたら、カッコ悪いなぁ。。(笑)。スタジオは乾いているし、ほこりが酷いからね。
早速、アレグラ買って飲んだ。本当に酷くなって、声が出ないとか、鼻血が出るようなら、ステロイド投入で凌ぐしかない。あれ投入すると、真夜中にステーキ食べたくなるのだよね。

2014年