豊島逸夫の手帖

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ロシアのウクライナ包囲網

2014年4月8日


3月18日付本欄「プーチンの次の一手」は「ドネツク」と特定し、ウクライナ問題も、「中期的な視点では、第一幕と第二幕の幕間と見るべき」とした。
パラジウム取引を通じロシアと独自の緊密な関係を持つチューリッヒのスイス系銀行筋からの情報であった。 そして7日には、そのドネツクで、親ロ派が「共和国創設」を宣言した。トゥルチノフ大統領代行は「ウクライナに対するロシアの特殊作戦の第二波だ」と、まさに第二幕を警告している。
しかし、チューリッヒ筋も、クリミアに次ぐロシアの軍事介入の可能性は否定する。
ウクライナ包囲網を構築してウクライナ現政権に圧力をかけ続けることで、同国を常に緊張状態に置き、ロシアのプレゼンス(存在感)を高める瀬戸際政策が狙いと見ている。
ロシアには依然強い「大国願望」が残っているのだ。
そのウクライナ包囲網は、クリミア、東部国境そして西部国境から成る。
ウクライナ西部はモルドバ共和国と国境を接するが、その国境近くを流れるドニエストル川の東岸に、添ドニエストル・モルドバ共和国(トランス二ストリアと も呼ばれる)という主権国家としてはロシアも承認していないが、モルドバ共和国の実効統治も及ばず、事実上の独立状態にある地域がある。人口50万人ほど で長さ200キロ程度、幅は4キロから20キロという細長い形状をしている。そこにはロシア軍が1000人以上「駐屯」して、資金援助から天然ガス供給ま で行っているので、ロシアから見れば実質的な飛び地のようだ。
武器やアルコールなどの密輸中継基地でもあり、黒海岸のオデッサに近いので、地政学的にも重要な位置にある。
但し、人民はルーマニア系(モルドバ系)、ウクライナ系、ロシア系がそれぞれ3割程度を占め、割れている。ゆえに、経済的には圧倒的にロシアに依存するが、EUとの関係強化を望む人も多い。
件のチューリッヒ筋によれば、ここが、ドネツクに次ぐ、プーチンの次の一手という。
欧州に近いので、NATOにも警戒感が強く、既に、ロシア軍侵攻の可能性を警告している。
クリミア、ドネツク、そして沿ドニエストルの「ロシアン・トライアングル」によるウクライナ包囲網の構築は着々と進んでいる。
ジワリと圧力をかけ続けることで、ウクライナとEUの「駆け落ち」だけは許さぬ姿勢を誇示するのであろう。
ウクライナ情勢の長期化は避けられない。
なお、市場への影響としては地政学的要因によるリスクオフの再来が連想されるが、長期戦の様相ゆえ、大幅な円高を誘引するような材料としては陳腐化してゆきそうだ。
米ロ新冷戦の構図なども語られるが、市場の材料としては、大きすぎて消化できない。
持続性のある要因となる可能性は低い。


さて、NISAの影響もあり、最近はセミナーで20代―30代の若い世代の参入を感じているわけですが、彼らのライフスタイルを見ると、新聞もテレビも見ずPCも使えず、とにかくスマホという例も多いようです。極端にいえば、全て、ニコ動で済ませるという感じ。
彼らが社会のコアになる10年後、20年後には、新聞もテレビも変わるでしょうね。
そういう意味で、テレビ局のネット配信番組には将来性を感じて、最近は出るようにしています。
今夜の日経CNBCマーケッツ生出演もその例です。
出るほうも、5分とかではなく、1時間タップリあるので、充分に語れますしね。↓
www.nikkei-cnbc.co.jp
まだ、テレビ局のほうでも実験段階のようですが。
日経CNBCの場合は、昼はシニア層の視聴者が多く、夜は現役組。
ですから、夜の配信で視聴者多様化に対応しているのでしょう。

2014年