2014年11月28日
1970年代初めの原油価格は、2-3ドル台であった。
それが、二度のオイルショックにより30-40ドル台まで10倍以上も急騰。
ところが、1999年アジア経済危機が勃発すると9ドル台まで急落。
しかし、2003年のイラク戦争をキッカケに上昇傾向に入り、中国需要増加などが原油先物市場ではやされ、2008年7月には147ドルという暴騰を演じた。ところが、金融危機による需要低迷が懸念されると、同年12月には30ドル台まで暴落している。
その後、再び中国需要増などがはやされ、2011年には100ドル超え。「原油100ドル時代」といわれた。
そこにシェール革命がおこり供給過剰となり、中国経済減速による需要減退も懸念される状況となった。
それでも、中東情勢不安という地政学的要因により、2013年までは100ドル水準が維持されていた。
日本の有力原油調査機関の2014年原油見通し(2013年12月発表)によると、高価格ケースでブレント115ドル、WTI105ドル(それぞれプラス10ドル上振れの可能性付記)。低価格ケースでブレント95ドル、WTI85ドル(ただしプラスマイナス10ドル)。つまり最高値で125ドル、最安値で75ドルとされた。これがプロの予測かと思えるほど、レンジを幅広くとって、ヘッジをかけた予想になっている。
その頃の市場の雰囲気としては、地政学的要因による高値懸念が強かった。筆者が2013年12月時点で「地政学的要因は陳腐化も早い。トレンドは需給が決める」と書き、2014年予測原油100ドル割れ、90ドル台に収斂としたときも、少数派「楽観的シナリオ」と受け止められた。
とにかく、原油価格はヘッジファンドなどの投機マネーによる価格変動が激しい。
今回も、特に需給ファンダメンタルズが短期間に緩んだわけではない。生産は実際に急増していない。需要面では今や原油輸入世界一になりつつある中国の税関総署によると同国10月の原油輸入量は前年同期比で18%増加しているほどだ。
それでも、原油価格が急落するのは、「シェールの米国と、OPECのサウジアラビアとの安値我慢比べ」などのストーリーで投機筋が市場の不安心理をあおるからだ。
事実、NY原油先物市場には「空売り」の建玉が蓄積しており、買戻しのタイミングを虎視眈耽と狙っている。筆者も、3週間前のNY出張でNY先物取引所(NYMEX)に寄った際、その実態を実感した。停滞気味の商品先物取引所で、原油のピット(立会場)だけが異常な熱気に包まれていた。
今がセリング(売り)クライマックスだろう。
これからはクリスマス休暇を控え、先物空売りの手仕舞い買いが入りやすい地合いになる。OPEC総会というビッグイベントも終わり、ここから新規売りを仕掛けるにはインパクトある材料も当面見当たらない。
OPECの団結が脆弱になっていることは事実だ。前回のOPEC総会(6月11日)開催時に、筆者はウイーンで原油コンサルタントたちと話したが、生産量割り当てを順守しないことを危惧していた。
ここが、売りの後講釈には使われやすい。
先物主導の相場だが、中長期的には、新たな需給均衡点を模索している段階だ。アンダーシュートを是正しつつ、80ドル前後に収斂してゆくと予想する。
原油価格については、明後日の日経マネーセミナー「どうなる2015年」(21日本欄告知)でも説明することにした。次々、材料が出るので、時間配分考えねば。告知3日でほぼ埋まったみたいだけど、主催者側が「歩留まり」といって、当日欠席者数を予測して、余計に受け入れるもの。
なお、金価格も原油安に連れて1180ドル台まで下がっている。
いっぽう、円相場は118円台まで再び円安進行。
さて、昨晩は、日本時間深夜のOPEC総会前に、鮨屋で会食。
出来立てホヤホヤで熱いギョク(卵焼き)がおいしかった。
すしネタは、光り物が好きなので、コハダやサバ・イワシなどパクパク。20貫くらい食べたつもりが、30貫食べていた。やせの大食い。原油価格変動でアドレナリンが出ていたのかも。まぁ、同じ食べ過ぎでも、肉より青魚のほうが、健康にはいいよね。
早めの夕食で、終わり次第、OPEC総会フォローとなった。