豊島逸夫の手帖

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イエレン氏の忍耐を試す市場

2014年12月19日

まず、一昨日の日経CNBC、ニュースコア30分生出演番組がUストリームで無料視聴できると告知したら、既に1100人視聴超えた。
「世界のマネーの行方は」↓
http://www.ustream.tv/recorded/56569749

そして、FOMC後の市場。
「FOMCは金融政策を正常な状態に戻し始めるのを忍耐強く(be patient)待つ」
FOMC声明に使われる形容詞としては、極めて文学的な表現だ。
「利上げまで紆余曲折はあろう。期が熟するまで辛抱強く待つ」
市場の心が揺れても、一時的なこと。ジッと待ち続けるとの、けなげとも思えるFRB議長の気持ちが伝わってくる。
その心根に感じ入るかのように、米株式ダウ平均は2日で700ドルを超す急騰を演じた。

その間、市場の心が揺れる場面もあった。
原油先物価格(WTI)が一時58ドル台まで反騰したが、その後、再び売り込まれ、54ドルで引けた。結果的には原油市場の脆弱性があらためて確認されてしまった。
市場では、今回の原油急落が産油国から消費国へ1兆ドル規模の所得再配分効果をもたらすとの分析が流れる。
同時に、原油価格が50ドルを割り込めば、米10年債利回りが1%台まで下落するとの見通しも流れる。

更に、17日発表された米消費者物価上昇率(11月)は、前月比0.3%下がり、2008年12月以来の下落幅を記録した。前年同期比では1.3%の上昇。変動の大きいエネルギー・食品を除くコア指数でも前月比0.1%増にとどまる。FRBが掲げるインフレ率2%目標からの下振れが顕著だ。FOMC後の記者会見で、イエレン議長は、今後、原油安が続く場合に、コア指数にも影響が及ぶ可能性も認めていた。最後は、お決まりの「最終利上げ決定は、マクロ経済データ次第」で締めている。
「インフレ率が1%台の経済に対して、利上げの処方箋を投与したときのリスクは症状のぶり返しであろう」

筆者は、昨日本欄『FOMCに潜む「金利のワナ」』で、こう書いた。

イエレン氏から、来年サクラの咲く頃までは、利上げ無し、との「執行猶予」を得た市場は、一足早いクリスマスとばかりのサンタ・ラリーに沸く。
いっぽう、同じローワー・マンハッタン地区の、NYSE(NY証券取引所)から遠くないNYMEX(NY先物取引所)では、原油空売りの宴がヒートアップしている。
経済の中心地NYの活況ぶりを、ワシントンのFRB本部は、冷めた気持ちで眺めていることだろう。
イエレン氏の「耐える心」が試されている。

貴金属市場は金とプラチナが、またまた1200ドル割れた水準でほぼ同価格となった。プラチナに値頃感あり。

さて、今日の写真は、このところ続いている関西での仕事の合間に行った京都南座顔見世。毎年恒例となった。中村勘九郎と七之助兄弟が、昨年より格段にうまくなった。忠臣蔵のお軽寛平。昨晩の日経夕刊文化面にも評論家がほめていたけど、七之助の女形はキレイだし、三大女形役をこなせるまでになった。正月の東京歌舞伎座にも出るそうで見にいこう。それにしても勘九郎は、亡くなったお父さんにソックリになってきたよ。

2022a.jpg夜は当然、祇園らく山。エビイモも寒さとともによく育ってきた。相変わらずホックリとクリーミーな絶品だね。

2022b.jpgブログ読者の来店が一段と増えているそうで、色紙にサインしてきた。なんでも、宮崎から来た人もいるそうでビックリ。

2022c.jpg実は今日も日帰り大阪出張。続くときには続くものだ。今の季節は富士山がよく見える新幹線A席狙い(笑)。 先日は法善寺横丁だったから、今日は天王寺たこやき「山ちゃん」にしようかな。ディープな大阪にはまってます!日経CNBCコア・ワイドで一緒になる分林里佳キャスターもクールな印象だけど、実は正調大阪弁で餃子大好物、趣味はバスケットボールだそうです。

2014年