2014年7月9日
欧米のコモディティー・アナリストは、この季節になると、年間金需要一位の座を中国と争うインドの長期天気予報をフォローする。6月から9月のモンスーンと呼ばれる雨季の雨量が、その年の穀物生産に大きな影響を与え、農村部の可処分所得が変動すると、伝統的金宝飾品購入も上振れ下振れするからだ。
今年は、6月の降雨量の出足が鈍く、通年の半分に留まっていた。
しかし、インド気象台は、7月第一週に本格的降雨を予測していた。ところが、太平洋に発生した超大型台風8号が、インド大陸の風向きも変え、期待された雨量が実現しない可能性が出てきた。
ニューヨーク商品市場の名物アナリストであるガートマン氏は「インドのモンスーンが弱く、金購入が減り、価格が下がる」との予測をニュースレターで発表して注目されている。
少雨で、米、サトウキビ、トウモロコシ、大豆などが不作になり、農村部の収入減を招き、地方で伝統的に購入される大ぶりの金宝飾品が売れなくなる可能性があるのだ。
また、インドは世界最大の砂糖消費国であり、世界第二位の砂糖生産国でもあるので、砂糖価格への影響も無視できない。
特に、台風8号は、停滞して影響の長期化が懸念されていることも材料視される理由になっている。しかも、モンスーンの最も大事なタイミングに、超大型台風8号が発生している。
筆者のところにも、昨晩は欧米コモディティー・アナリストから、日本の台風情報についての問い合わせが数件入った。
株価は、エルニーニョの年は、米国でハリケーンの発生が減るので、米経済の下支え要因になるので、日本の夏相場も堅調に推移する
ことが多いといわれる。今年の夏は、そのエルニーニョ発生が予測されている。
しかし、商品価格は、異常気象で、思わぬ夏の乱気流に巻き込まれる可能性が出て来た。とはいえ、その影響は一時的なものである。