2014年5月20日
19日の欧米為替市場では、101円10銭の壁の攻防が4回あった。
その間、注目の米国10年債利回りは一時2.5%を再び割り込む局面もあったが、結局同水準は維持して2.54%で引けた。
ドル円相場の200日移動平均線についても、瞬間的に101円7銭へ割り込む場面もあったが、すぐに回復を見せた。
材料目白押しの今週の第一ラウンドは、とりあえず円高トレンド突入回避となり、市場には束の間の安堵感が漂う。
しかし、今週の注目材料が出始めるのは明日以降である。
まだ予断を許さない緊迫感のある地合いは続く。
そこで注目点をまとめてみた。
1) 日銀政策決定会合(21-21日)
さすがに「追加緩和」への期待感は低く、「追加緩和への言及なし」という失望感で円高に振れる可能性は薄い。
それに代わって、俄かに注目されるのが、記者会見で黒田総裁が最近の円高傾向、あるいはその背景のドル金利低下について突っ込まれた場合のコメントだ。
直接的なドル円相場への言及は非現実的だが、本欄19日付け「「5.23」ショック後の一年、再来はあるのか」で指摘した「なにか一言」程度のコメントは 充分に考えられる。たとえば、説明の過程で「円安構造」という単語を使うだけでも、文脈と無関係にヘッドライン(見出し)として独り歩きする可能性はあ る。
追加緩和ではなく、為替動向についての言及の仕方が注目されるのだ。なにもなければ、それはそれで、「円高容認」と受け取られかねない。
2) FOMC議事録(21日)(4月29日・30日分)
19日ダラスで開催された討論会に出席したサンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁、フィッシャー・ダラス連銀総裁、そしてバーナンキ前FRB議長の発言が外電を通して流れた。
4兆ドルに膨張したFRBのバランスシート、そして利上げの手段などについての議論などが伝わるが、直接市場を動かすほどの発言はなかった。
そこで、注目されるのが、前回FOMCの議事録公表だ。
イエレン新FRB議長の緩和継続路線に対して、タカ派の両巨匠といわれるプロッサー・フィラデルフィア連銀総裁やフィッシャー・ダラス連銀総裁の発言内容が明らかになると、市場にインパクトを与える可能性があるので要注意である。
3) 中国PMI(22日)
昨年「5.23」株急落の引き金となった中国の経済統計だけに注目度は高い。特に、前月まで4カ月連続で、景況感の境目となる50を割り込んでいる。この 傾向が続くと、中国経済への不安感が市場のリスクオフを醸成する。19日には突発的に、「米、中国軍5人をサイバー攻撃スパイ容疑で刑事訴追」という新た な米中関係の火種も出て来た。
4) ウクライナ大統領選挙(25日)
週末にウクライナ関連のイベントを控えているので、23日金曜日には、ポジションを手仕舞う動きが見られるだろう。特に、円ショート(売り持ち)、ドル・ロング(買い持ち)のポジションをかかえるファンドには「気持ち悪い」週末となりそうである。
このように見てくると、今週の本番はこれからだ。
19日は前哨戦の段階といえる。
まずは、この外為市場の円高切迫感に黒田日銀総裁が何らかの言及をするか。21日の記者会見が待たれる。
さて、プラチナと金の値差が金1294ドル、プラチナ1470ドルで、176ドルまで拡大してきましたね。
この金プラチナ・スプレッドが200ドルに接近すると、金が上がるか、プラチナが下がるかで、乖離幅が調整されるでしょう。
しかし、今年はやはりプラチナの年。
パラジウムは確かに強いけど、なんせ、市場規模がプラチナより更に小さいので、投機でバンバン動くのが悩ましいところ。
銀やパラジウムは需給を論じても、それを遥かに上回る投機マネーで動くので、ファンダメンタルズの話が虚しい。